代用花粉はミツバチが食べやすいよう粘土状(パテ)にして与えます。 代用花粉パテは、代用花粉の原料を砂糖や液糖(蜂蜜も含む)と混ぜて練るだけなので、作り慣れてきたら自分の好みのレシピで作るのも良いでしょう。 多少、パテの出来が悪くても天然花粉が足りてなければミツバチは食べてくれます。 また、花粉が全く無い季節(冬など)は、代用花粉のみでもミツバチが嫌々食べてくれます。
代用花粉パテを自作するのも良いですが、飼育群数が少ない場合は既製品の代用花粉パテを購入してもお手軽で良いでしょう(一枚500円程度です)。 既製品の代用花粉パテには、ビーハッチャーや天然花粉をパテ状にしたものがあります。
写真の製品は天然花粉パテです。天然花粉は食いが良いのでおススメです。
代用花粉の主な原料は、「乾燥酵母粉末」・「代用花粉製品」・「海外産の天然花粉」・「クロレラ、スピルリナ」・「プロテイン粉末」等になります。 なかでも乾燥酵母は天然花粉と栄養価が似ており、ミツバチの主力代用花粉として色々な製品で使われています(代用花粉製品について詳しく調べたページ)。
乾燥酵母粉末・クロレラ粉末・スピルリナ粉末・プロテイン粉末(カゼインや大豆)は、大きな薬局やインターネット通販で入手可能です。 天然花粉や代用花粉製品は、養蜂園やインターネット通販で入手可能です。
情報: 天然花粉は、花粉採取器を使って自分が飼育している群から集めることも可能です。
原料価格(高い物から)は、天然花粉 >> スピルリナ・クロレラ > プロテイン粉末 > 乾燥酵母 = 代用花粉製品の順になります。 野外飼育の場合はミツバチが自力で天然花粉を沢山集めてくるので、それほど代用花粉の選択に対して神経質になる必要は無いです(上記の原料なら何でも良いです)。
安い代用花粉原料が大量に必要な時は、飼料用乾燥酵母を買うのも良い選択です。 飼料用乾燥酵母は栄養価が高くコストパフォーマンスが大変良いです。
2022年の10月頃から資源高+円安の影響でインフレが進んでおり、養蜂飼料も値上がりしています。6年前と比べると1.5倍ほどの価格になっています。
飼料用酵母の購入先(2022年12月):
㈲大栄商事様
電話:027-374-1092
FAX:027-374-5105
飼料用酵母20kg、7150円+10%消費税+送料
餌用の天然花粉は高価ですが、ミツバチには一番最適な餌です。 群が中々増えないという場合は与えてみるのも良いでしょう。
大豆粉末も代用花粉として使われていますが、大豆に含まれるスタキオース(大豆オリゴ糖)がミツバチに毒性を持つとの理由で代用花粉原料としては余り推奨されてません。 植物性高たんぱく質使用とうたっている代用花粉製品は、大豆粉末を使わず大豆から抽出した大豆プロテイン(超高タンパク+大豆オリゴ糖少ない)を使っていると考えられます。
参考文献:Feeding Bees Pollen Substitutes.
どうしても大豆粉末を代用花粉原料として使いたい場合は、他の原料と組み合わせて使いましょう。 例:大豆花粉50%+乾燥酵母50%など。
ビタミンやミネラルは乾燥酵母に豊富に含まれていますが、更に栄養を強化したい場合はビタミン類を加えてやると良いでしょう。 私は「ファイン クエン酸 お徳用250g ビタミンC1,000mg配合」という量が多くて安い製品を使っています。 この製品にはクエン酸に加えビタミンCやビタミンB類が含まれています。
材料(1群用): 砂糖250g、水40g、代用花粉原料50g 材料(4群用): 上記の原料を鍋などに全て入れて混ぜます。 材料が多い場合は、手で混ぜた方が効率が良いです。 |
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よく混ざったら完成です。1群用なら3分もあれば作れます。
代用花粉パテの粘度調整方法: 水を加えると柔らかくなり、砂糖や代用花粉を加えると固くなります。 |
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作った代用花粉パテは、クッキングシートで包むとパテの吸湿や乾燥を防げ、且つミツバチにも与えやすくなります。
※ミツバチはクッキングシートを細かく食い千切る事ができます。 |
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クッキングシートで包んだ代用花粉パテは、砂糖濃度が高いので常温でも腐りませんが長期間使わない場合は冷蔵庫で保管したほうが無難です。 | |
代用花粉パテは、産卵圏のある巣枠の上に置くと若い蜂が良く食べてくれます。 対照的に外勤蜂は代用花粉を余り食べません。 また、自然の花粉が十分に足りている時は、与えた代用花粉パテの食いが悪いです。 パテの乾燥を防ぐため、パテを覆っているクッキングシートの一部を捲って与えると良いです(赤線部分のように)。 |
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水分が多く粘度の低い代用花粉パテは、写真の様に与えると良いです。 粘度が低いパテは扱いにくいですが、ミツバチの食いは良いです。 | |
固めの代用花粉パテは、容器に詰めてミツバチに与える事もできます。赤線の部分からミツバチが食い始めます。 | |
代用花粉パテを詰めた容器をひっくり返してミツバチに与えます。 | |
食い千切られたクッキングシートは、ミツバチによって巣箱外に捨てられます。
巣門前がクッキングシートの屑で汚れるのが嫌な方は、ビニール等のミツバチが食い千切れない素材で代用花粉を包んで下さい。 |
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代用花粉パテを作る際の注意点: パテを自作する際、代用花粉原料を多く加えすぎるとミツバチの食いが極端に悪くなります。 そのため代用花粉原料はパテ全体の30%以内にしたほうが良いでしょう。 写真は、スピルリナパテ(スピルリナ+砂糖+水少々を混ぜた物)に食らいつくミツバチ達です。 スピルリナは、バリンとロイシン含有量が多く良い代用花粉原料だと個人的に思います。 |
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2016年12月: 最近は、このように砂糖板に代用花粉を入れて与えています。パテ状の物より食いが遅いですが、群に少しづつ代用花粉を供給できます。
作り方は、固形餌の作り方のページを参照して下さい。 |
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2017年12月: 最近は、このようにプラスチック給餌枠に代用花粉を大量に入れて与えています。 代用花粉を入れると容器内が汚れるので、掃除しやすい底の浅い給餌枠を使っています。 |
次は、液糖(砂糖水も可)を使った代用花粉パテの作り方です。 液糖を使うとより柔らかいパテになります。
代用花粉原料に液糖を少しづ加えながらかき混ぜます。 蜂蜜で作るとミツバチの食いが良くなります。 液糖の加え過ぎに注意して下さい。ドロドロになってしまいます。 |
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パテ状になったら完成です。液糖を加えすぎて代用花粉がドロドロになってしまった場合は、砂糖を加え粘度を再調整して下さい。 一部の代用花粉製品は砂糖を大量に含んでいる物があります。そのような製品は水と混ぜるだけでOKです。 |
少数群の飼育では、近くで大群を飼っている人が居ない限り自然の花粉が慢性的に不足する事はまず有りません(植物が少ない都市部等は例外)。 そのため、代用花粉を毎回与えるのではなく、花粉源植物が減る時期に合わせて与えると効果的です。 群が必要とする年間花粉量、ミツバチ1匹を育てるのに必要な花粉量の詳細はこちらのページを参照して下さい。
天然花粉・代用花粉ともに蜂が食べるのに日数が掛かり過ぎるとカビが生えて腐ってくるので、一度に与える量は「1週間で食べきる量」を目安にして下さい。
経験則になりますが、代用花粉はあくまで栄養補助であり、ミツバチの健全な長期育成には天然花粉が必要だと強く感じます。