2016年11月28日 沖縄は気温がガクッと下がり曇りや雨が続いています。
花蜜の濃縮工程の文献を探していましたが、他に気になる文献を見つけました。 こちらの方が養蜂的には実用性が高そうなので紹介させてください。
下記の文献には、働き蜂の1日当たりの砂糖消費量や幼虫が必要とする花粉量が記載されていました。 働き蜂の維持費(砂糖消費量)や、働き蜂を作る為に必要な花粉量が解れば、蜜源が無い時期の適切な給餌量がある程度分かるようになります。
参考文献:Honey Bee Nutrition
働き蜂の製造に必要な花粉量
働き蜂の幼虫を1匹を育てるのに必要な花粉量は125-187.5 mgです(中間をとって150mgとしました)。 上記のデータを基にすると、巣脾枠1枚分(約2000匹)の働き蜂を作るのに必要な花粉量は300gとなります。 群が年間に集める花粉量は、10~26kgと大量です。 10kgの花粉は、働き蜂6万7千匹分に相当します。 働き蜂を作るには、花粉以外にも別途、餌の蜂蜜と保温で消費する蜂蜜が必要です。 |
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働き蜂の維持費(1日当たり)
働き蜂は11mg/日の砂糖(糖類)を必要とします。 上記のデータを基にすると、巣脾枠1枚分(約2000匹)の働き蜂を1日維持するのに必要な砂糖量は22g(蜂蜜だと27g位)となります。 働き蜂が沢山動くと、更に多くの砂糖を消費します。 |
蜜源が少ない時期の砂糖給餌量(1日分/1週間分)を、上記の情報を基に算出すると下記になりました(幼虫の餌・保温・その他による砂糖の消費は考慮していません)。
補足:砂糖とはグラニュー糖100%の事です。 砂糖水や液糖を与える場合は、それらの水分含有量を考慮してください。 例:砂糖22gは、糖濃度50%の砂糖水44g(砂糖22g+水22g)と同じです。
1枚群(働き蜂2000匹): 砂糖給餌量(22g / 154g)
2枚群(働き蜂4000匹): 砂糖給餌量(44g / 308g)
3枚群(働き蜂6000匹): 砂糖給餌量(66g / 462g)
4枚群(働き蜂8000匹): 砂糖給餌量(88g / 616g)
5枚群(働き蜂10000匹): 砂糖給餌量(110g / 770g)
6枚群(働き蜂12000匹): 砂糖給餌量(132g / 924g)
7枚群(働き蜂14000匹): 砂糖給餌量(154g / 1078g)
8枚群(働き蜂16000匹): 砂糖給餌量(176g / 1232g)
9枚群(働き蜂18000匹): 砂糖給餌量(198g / 1386g)
10枚群(働き蜂20000匹): 砂糖給餌量(220g / 1540g)
このデータは、越冬群の蜂蜜消費量の大まかな目安にもなるかもしれません。 例:7枚満群(働き蜂14000匹)で越冬した場合、1日に必要な砂糖量154g、蜂蜜に換算すると185g、90日越冬したとすると、90日×185g/日=必要ハチミツ量16.6kg=貯蜜枠(1枚3キロ)が5.5枚位必要となる等(実際は群が大きい程、越冬中の蜂蜜消費量は減ります)。
花粉の必要量は、小さい幼虫の数に比例するので、幼虫の数をある程度把握して少し多めに与えると良さそうです。 しかし、巣脾枠1枚(約2000匹)の幼虫を育てるのに300gもの花粉(天然花粉は買うと高い)が必要なので、花粉を不足なく給餌すると相当お金が掛かりそうです。