女王蜂(西洋蜜蜂)に印を付けると、内部検査時に非常に見つけやすくなります。 羽を切ると分蜂時に女王蜂はほとんど飛べないので、下記の画像のように地面に分蜂したハチと女王蜂が一緒に溜まり回収も楽になります。 女王蜂だけそのまま外で死んでしまう事もありますが、その場合は分蜂したハチは元の巣箱に戻ってきます。
私は住宅地で養蜂してる時は分蜂させると大騒ぎになるので、全ての群の女王蜂の羽を切っていました。 現在は田舎に大部分を移したので羽切りはしていません。 マーキングも初めは真面目にしていましたが、最近は面倒なので全くやっていません。
羽切りやマーキング作業は養蜂家により微妙に方法が変わりますが、基本は一緒です。 「女王蜂を捕まえる→羽をハサミで切る or 女王蜂の背中に塗料(印)を付ける」となります。
マーキング塗料 女王蜂のマーキングには、ポスカ・マニュキュア・修正液・蛍光塗料がよく使われます。 塗料には油性と水性がありますが、水性塗料の方が臭いが少なく蜂が騒がないのでお勧めです。 私は蛍光塗料をよく使いますが、ポスカやマニュキュアの方が作業性が良いと感じます。 |
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マーキング用の筆 塗料を女王蜂の背中に塗る時に使います。 小さな木の棒・発砲スチロールのカケラ・綿棒などで十分に塗れます。 ポスカやマニュキュアを使う場合は、マーキング用の筆を用意する必要はありません。 |
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隔王箱のような物 女王蜂の背に塗ったマーキング塗料が乾くまで隔離します。 女王蜂を一時的に隔離(5~15分)できる物なら何でも良いです。 |
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小さいハサミ 女王蜂の羽を切る時に使います。 |
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ピンセット 女王蜂の羽を摘むのに使用します。 動いている女王蜂の羽を摘むのに慣れが必要です。歩いている女王蜂の後ろから素早く片方を羽を摘む感じです。羽摘みに失敗すると女王蜂は警戒モードに入ってしまい動きが早くなり逃げまくります。 出来れば一回で捕まえましょう。 ピンセットのみを使用した簡易女王蜂の羽の切り方はこちらを参照してください。 |
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ピンセットで捕まえた女王蜂 ピンセットで羽を摘んだ女王蜂です。 ピンセットを緩めると逃げだすので注意してください。 羽を摘んだ状態の女王蜂は騒ぎますが、女王蜂を物の上に置くと動きが止まりマーキングや羽切がし易くなります。 |
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羽の切る場所 羽を少し切れば女王蜂は飛べなくなります。 私は写真で赤ラインを引いた感じにカットしています。 羽以外を切らないように十分注意して下さい。 |
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羽を切られた女王蜂 実際に羽を切った女王蜂です。 |
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マーキングされた女王蜂 塗料が触覚や足など付くと女王蜂が群から追い出される事があります。 塗料は女王蜂の胸部(毛が生えてない所)に塗りましょう。 実際にマーキングした女王蜂です。詳しいやり方はコチラをご覧ください。 時々、女王蜂に付けた塗料が働き蜂に剥がされる事があります。その場合は、再度塗料を塗りなおして下さい。 古い塗料は剥がれ易いと感じるので、なるべく新しい塗料を使いましょう。 |
女王蜂を捕まえる作業は完全に慣れです。女王蜂を捕まえようと頑張ってるとコツが解ります。ピンセットで羽を摘む練習をする時は、まず働き蜂を使って練習をして下さい。
「こんな細かい作業できるか! 初心者をなめるなよ!」という方には炭酸ガスを利用した方法をお勧めします。 炭酸ガスで女王蜂を一時的に気絶させてからマーキングや羽切りをします。 少し手間が掛りますが、これが一番簡単な方法です。
追加で用意する物 ・小型CO2ボンベ CO2ボンベに関してはコチラを参照して下さい。 |
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女王蜂を捕まえる前に、塗料を綿棒にたっぷり付けておきます。王籠もフタを開けて準備しておきます。
ポスカを使用する場合は、予めペン先の塗料の出を確認しておきます。 |
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女王蜂キャッチャーで女王蜂を捕まえます。女王蜂キャッチャーなら、初心者でも女王蜂を捕まえ易いです。
便利な道具ですが・・・女王蜂を捕まえる前に必ず働き蜂や雄蜂を捕まえる練習をして下さい。特に、キャッチャーを閉じる時に女王蜂を挟み潰さないように気を付けましょう。 |
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画像のように、女王蜂キャッチャーごとビニール袋に入れてCO2ガスを注入します。ビニール袋の開封口は、画像の様に手でしっかり握って下さい。 | |
CO2ガスを注入すると、10秒ほどで女王蜂は気絶します。 女王蜂が気絶したのを確認後、ゆっくり15秒数えて下さい。(ガスは注入し続けます。) これで女王蜂は袋から出しても1~2分は意識が戻りません。 |
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気絶した女王蜂をキャッチャーから取り出します。 女王蜂を上向きにして塗料を胸部に塗って下さい。(女王蜂は優しく扱いましょう。) |
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ついでに羽も切りましょう。羽以外の部分は絶対に切らない様にして下さい。 | |
マーキング・羽切り作業が終わったら、女王蜂を王籠に移しフタをします。 女王蜂の意識が戻るまで、巣箱の中か涼しい場所に置いておきましょう。(アリに注意) |
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女王蜂は1~2分で意識が戻りますがフラフラしています。 群に戻すのは、女王蜂に塗った塗料が乾いてからにしましょう(5~15分後)。 |
女王蜂にマーキングするだけなら、専用の養蜂道具があります。 女王蜂のマーキングに特化した道具だけあって、安全且つ簡単にマーキングする事ができます。
安価な物は、左の写真のような道具になります。 原理は、女王蜂を筒の中に入れ内部で固定しペンでマーキングします。
この道具の使い方は、リンク先のページを参照して下さい。 |
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高価な物は、左の写真の道具になります。安価な物と違いこの道具一つで女王蜂の捕獲から固定までを安全に行えます。
女王蜂のマーキングに必要な物は、この道具とポスカだけです。 使い方は、箱に記載されているようにシンプルです。 |
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この道具は、全て片手で操作できる仕様になっています。 | |
片手で持ったまま女王蜂捕獲口の開閉が行えます。 | |
使い方の説明です。
①女王蜂を居る巣脾枠を探し片手で持ちます。 |
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②もう片方の手で道具を操作し、巣脾上に居る女王蜂を筒の中に閉じ込めます。
女王蜂を閉じ込めるコツを説明します。 女王蜂を確認したら、女王蜂を潰さないようにゆっくり筒を被せ筒内部に女王蜂を閉じ込めます(働き蜂が数匹入っていてもOK)。 女王蜂を筒に閉じ込めたら、筒の開閉口(門)を少しづつ狭めていきます。 女王蜂が門に挟まらない位置に移動したら、素早く門を閉じます。 |
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③筒の底をゆっくり押し上げ、女王蜂を写真の様に固定し、胸部にポスカでマーキングします。
女王蜂固定のコツを説明します。 女王蜂は筒内部を縦横無尽に動いていますが、筒内部をゆっくり狭めていけば写真の様に固定できます。 大部分の女王蜂は、門の隙間から抜ける事が出来ないので焦らずゆっくり作業して下さい。 *筒内部に居る働き蜂は無視し、女王蜂の態勢や位置をよく観て下さい。 |
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④マーキングが済んだら女王蜂の固定を解除し、塗料が乾くまで5分ほど筒の中に入れておきます。女王蜂はアリや直射日光の当たらない場所に置いてください。
塗料が乾いたら、門を開けて女王蜂を群へ戻します。 この道具は「女王蜂キャッチ&マーキング器」という名前で販売しています。 |
どんな道具を使うにせよ、女王蜂を捕まえる際はリスクが伴います。 必要が無ければ女王蜂には触らない方が良いです。誤って女王蜂を傷つけてしまうと、女王蜂が群から追い出される可能性があります。