ここでは3枚有王群の出荷方法を説明しますが、お客さんの要望に応じて臨機応変に対応して下さい。 私は他の養蜂家の出荷方法を一度も見た事が無いので、ここで紹介する出荷方法が本当に正しいのか解りません。 ここで紹介する出荷方法で問題が起きても、責任取れませんのでご了承ください。

2018年10月:出荷経験・技術もプロレベルに達したと思います(他の養蜂家の出荷手伝いもしてます)。ここで紹介している出荷方法で問題無いです。

ミツバチの出荷手順

出荷用の巣箱について

木製巣箱とダンボール製巣箱があります。どちらで出荷しても大した差は無いので、 自分が好きな方を選択して下さい。

補足情報: 出荷に使用する巣箱は、大きければ大きいほどミツバチが輸送中に蒸殺する確率が下がります。

ダンボール巣箱の利点は下記になります。
①組み立てが楽
②軽い
③巣枠を固定する釘が必要無い
④換気口をカッターで臨機応変に作れる

欠点は、木製巣箱と比べて耐久性が無く水に弱い事です。

ここではダンボール巣箱を使用した出荷方法を説明しますが、木製巣箱でミツバチを出荷する時は、巣枠を釘で巣箱に固定して下さい。

3枚有王群を作るには?

最低でも5枚群が必要だと思います。3枚群から3枚群(出荷用)を作るには、有児枠が足りなかったりミツバチ数の調整が難しいので苦労します。

私のオススメは6枚群です。6群から巣枠3枚と女王蜂を抜いても、巣枠が3枚残るので、そこから群を復活できます。管理上も6枚群までなら、女王蜂も見つけやすく分蜂もしずらいです。

出荷する巣枠とミツバチ数

画像の様に、巣枠(正しくは巣脾枠)に満遍なくミツバチが付いている状態がベストです。ミツバチが沢山付き過ぎている場合は、ミツバチを振い落して数を調整します。

輸送するミツバチの数が多いほど、輸送中に蒸殺(暑さで死ぬ)する可能性が高くなります。 蜂数を多くする場合は、大きめの巣箱で出荷すると良いでしょう。

出荷する巣枠の蛹数

出荷する巣枠には、ミツバチだけ付いていても駄目です。画像の様に、幼虫・蛹が多く居る巣枠(蜂児枠)を出荷します。

最低でも、巣房の50%以上に幼虫・蛹が居る蜂児枠を選んで下さい(蜂児枠1枚当たり蜂児3000匹程)。 蛹圏の大きさや場所は、巣枠ごとに異なるので臨機応変に対応して下さい。

一般的に、貯蜜オンリーの巣枠は一枚としてカウントしません。3枚有王群の出荷には蜂児枠3枚が必要になります。

出荷群に持たせる貯蜜量

出荷中は、ミツバチを1~3日巣箱に閉じ込める事になります。 その為、ミツバチは外部から餌を補給する事が出来なくなるので、巣枠に貯蜜が有る事を確認して下さい。花粉も貯めていれば更に良いです。

貯蜜が最低600gあれば、2~3日は大丈夫です。 安全な貯蜜の量は1kgです。

出荷用巣箱に蜂児枠を移す

画像の様に蜂児枠をセットします。この段階ではミツバチの数は余り気にしなくても良いです。後で追加調整できます。女王蜂も探しながら作業して下さい。

出荷用巣箱に巣枠を移す(注意点①)

巣枠(蜂児枠・貯蜜枠・巣礎枠)は、しっかりダンボールにはめ込みましょう。巣枠の固定が甘いと輸送中に外れます。

木製巣箱の場合は、釘(ネジお勧め)で固定して下さい。

出荷用巣箱に巣枠を移す(注意点②)

ダンボール巣箱の場合は、底の巣枠固定紙にも注意して下さい。画像の様にしっかりハメて下さい。

出荷用巣箱に蜂児枠を3枚移した

画像のように、巣箱の中央付近に蜂児枠を3枚セットして下さい(気温が高い時)。

気温が低い時は、保温効率が良くなるように巣枠を巣箱の隅に詰めてセットして出荷しています。

女王蜂の確認①

出荷用巣箱にセットした巣枠に女王蜂が居れば、問題ありません。有王群です。

女王の確認②

もしセットした巣枠に女王蜂が居ないなら、残りの巣枠から女王蜂を探し出して出荷群に加えて下さい。

ミツバチの出荷は、女王蜂を探す作業が面倒ですが6枚群程度なら比較的簡単に発見できます。 女王蜂が産卵中だったり、巣箱の壁に居ると中々見つからず苦労する事があります。

ミツバチ数の最終調整①

出荷する3枚有王群に、ミツバチが少ないようなら残りの巣枠からミツバチを出荷用巣箱に振い落します。

浦添養蜂園では3枚有王群の定義を、蜂児枠3枚(蜂児9000匹以上)+女王蜂1匹+働き蜂6000匹以上としています。

ミツバチ数の最終調整②

出荷用巣箱の上で、ミツバチを振い落として下さい。これで3枚満群にします。

ミツバチを入れ過ぎると、3枚群なのに4枚群の規模のミツバチ数に成ってしまい輸送リスクが増えます。 お客様のために沢山働き蜂を入れたい所ですが、入れ過ぎには注意して下さい。

4~5枚群を出荷する場合

3枚群以上を輸送する場合は、蒸殺対策として輸送箱の換気口を増やしたりチルド便で出荷するのがお勧めです。

出荷巣箱のフタを閉める

ミツバチを振い落したら、ミツバチが飛んで逃げる前に素早くフタを閉めて下さい。フタを閉める際は、ミツバチをなるべく潰さない様にして下さい。

出荷巣箱のフタをテープで固定する

画像の様に、フタをガムテープで完全に接着して下さい。私の場合、現場(養蜂場)での作業はこれで終了になります。

フタをした巣箱は、直射日光の当る所に長時間放置しないください。巣箱内部が熱くなってしまいます。

残された群の処理①

群の貯蜜量、卵・蛹量、働き蜂数を考慮して、適切な対応をして下さい。

働き蜂が少ないなら、思い切って群を消滅させたほうが良いです。巣枠やミツバチは他の群に合同します。外で働いている外勤蜂は、巣箱が無くなれば勝手に他の群に合同するので気にしなくて良いです。

残された群の処理②

王台を作らせる場合は、働き蜂巣房に卵が有る事を確認して下さい。6枚群から有児枠を3枚も抜くと、残りは貯蜜枠で卵が無いという事があります。

そのような時は、他群から卵が産みつけられている巣枠を抜いてきて、追加して下さい。 手っ取り早い群の復活方法は、新しい女王蜂の追加です。

出荷巣箱に網を被せる①

万が一、巣箱からミツバチが漏れてしまった時の対策です。蜂漏れ対策をしっかりしないと郵便局やヤマト運輸に輸送を断られます。

巣箱用の網は、養蜂園で1枚300~800円で売っています。 網は、輸送中にミツバチが運悪く巣箱から漏れた時の最後の砦になるので、ケチらずしっかりした物を使ってください。

出荷巣箱に網を被せる②

私は画像の様に、網の入口をタイラップで閉じています。どんな方法でも良いので、巣箱を包んだ網をしっかり閉じて下さい。

出荷用巣箱をPPバンドで縛る

最後に網ごとPPバンドで2ヶ所縛って完了です。PPバンドで縛ると、巣箱を持つのが楽になります。

郵便局の送り状は、巣箱に張り付けず局員に渡して下さい。

シール類(こわれもの・なまもの・天地無用)は、郵便局の人が貼ってくれます(予め自分で貼ってもOK)。

出荷直前にミツバチに70%液糖を300ml位飲ませておくと、餌切れ防止&働き蜂の生存率が高まります。自分は巣箱上部の換気口から液糖を垂らし与えてから出荷しています。

輸送業者(日本郵便・ヤマト運輸)は、ミツバチの死着を補償しません。輸送中の蒸殺を避けるためにも、涼しい季節に出荷した方がリスクが少なく良いでしょう。ミツバチが運悪く蒸殺してしまったら諦めも肝心です。誰が出荷しもて死んでたと前向きに考えましょう。
蒸殺した時の写真はコチラです。

出荷に必要な資材(段ボール巣箱各種・出荷用の網)を開発しましたので、他の養蜂園から手に入らない場合は浦添養蜂園に相談して下さい。

戻る