趣味でミツバチを1~2群飼っているだけなら、隔王籠(王籠)はあまり出番がありません。しかし、飼育群数が増えてくると出番が多くなる道具です。 いつかは必ず使う養蜂道具なので、初心者の方はここでミツバチを効率よく王籠に入れる方法を学びましょう。
ミツバチ(女王蜂を含む)を隔王籠に入れるには少々慣れが必要です。一匹入れるだけなら余り難しくありませんが、王籠内に複数ミツバチを入れる場合はミツバチの習性を知らないと苦労します。
上の画像を見て下さい。ミツバチが王籠の上部に集まっているのが観察できますよね? この様にミツバチは上に行きやすい習性があります(太陽光に反応して上に向かっているのだと思います)。
大切な事なので2度書きます。 「ミツバチは上に行きやすい。」 ミツバチを王籠に詰める際は、この習性を考慮して作業します。
ミツバチを捕まえる方法は、養蜂家により色々違いますが・・・私はピンセットを推奨します。目が悪い方は女王蜂キャッチャーという道具で代用できます。 女王蜂キャッチャーは、ピンセットより安全に女王蜂を捕まえる事ができますが汎用性に欠けます。
ピンセットは一匹づつミツバチを捕まえる事ができます。(羽を摘む)
女王蜂キャッチャーは一度に大量のミツバチを捕まえる事ができます。捕獲後、時間が経つと働き蜂は隙間から外に出てきます。女王蜂のみを捕まえたい場合は、働き蜂が出てくるまで待たなければなりません。
また、女王蜂キャッチャーは「女王蜂を簡単に捕まえられる機能のある王籠」と考える事もできます。働き蜂を王籠(女王蜂キャッチャー)から出したくない場合は、キャッチャーの隙間をプラ網などで加工してから使いましょう。 女王蜂キャッチャーには餌を入れる場所がありませんので、内部の蜂に餌を与える場合はハチミツを隙間から垂らして与えてください。
引き戸タイプの王籠の場合 王籠内部のミツバチの様子を見ながら、ミツバチが王籠上部に集結した時に下から新しいミツバチを追加します。 |
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戸をサッと開けて、素早くミツバチを王籠内部に置く様に追加します。追加したら直ぐに戸を閉めます。戸を閉める時にミツバチを挟まない様に注意しましょう。 | |
王籠の上部からミツバチを追加する場合 王籠をしっかり持って、軽く床や地面に叩きつけます。 |
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叩きつけた衝撃でミツバチが一時的に王籠の下に全て落ちます。 その間に素早く王籠上部から新しいミツバチを追加します。この方法でミツバチを追加していく場合、女王蜂は一番最後に追加しましょう。(女王蜂に余り衝撃を与えたくない為) |
この二種類の方法を知っていれば、どんな王籠にも対応できます。片手で王籠を持ち、もう片方でミツバチを捕まえてから実行して下さい。*慣れが必要です。まずは働き蜂を複数匹王籠に入れる練習をして下さい。*
女王蜂キャッチャーから王籠にミツバチを移す場合は漏斗を使います。 | |
漏斗に接続できるタイプの王籠が必要です。画像では、漏斗と王籠の出入り口をホースで接続しています。 | |
まず、ミツバチを捕まえます。ピンセットと違い一度に大量に捕まえられます。 女王蜂は傷付けると大変なので、キャッチャーで捕まえる前に働き蜂で練習して捕獲のコツを掴んで下さい。(全ての動作はゆっくり行って下さい。) |
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捕まえたミツバチ達を漏斗の中に振い落します。
ミツバチは上に登ってくるので、漏斗を細かく揺らしたり指で底の穴に優しく誘導して下さい。 ミツバチが何匹か穴に入ったら、穴を指で塞いで漏斗ごと逆さにしてミツバチを王籠内に誘導します。(ミツバチの習性を利用) 一度でミツバチを沢山穴に入れようとせず、何度かに分けて少数ずつ王籠に誘導すると良いです。働き蜂が飛んで逃げても、代わりはいっぱい居るので問題ないです。 |
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女王蜂は代わりが居ないので注意が必要です。 女王蜂は基本飛べないので、指で優しく漏斗の穴に誘導して、穴に入ったら穴を指で塞いで漏斗を逆さまにして王籠に導きます。(ミツバチの習性を利用) |
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このように漏斗に接続した王籠にミツバチが溜まっていきます。 | |
王籠を漏斗から外したら、直ぐに王籠の出入り口を閉めて下さい。そのままにしていると、ミツバチが王籠から逃げ出します。 |
どうしても上手くミツバチを王籠に入れられない方は二酸化炭素を使用して下さい。小型ボンベを買うのに1200円程掛りますが、どんな不器用な方でも簡単・確実にミツバチを王籠に入れる事が出来ます。
女王蜂キャッチャーで捕まえたミツバチ達を二酸化炭素で気絶させる方法です。
こちらの方法は漏斗の代わりにCO2ボンベが必要になります。(小型ボンベについてはこちらを参照して下さい。) |
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キャッチャーで捕まえたミツバチとCO2ガスを注入するホースをビニール袋に入れます。
そして手でビニール袋の開封口をしっかり閉じて下さい。(画像ようにして下さい。) CO2ガスを注入するとビニール袋は膨らみます。ガス節約の為にしっかり開封口を握って、なるべくCO2を逃がさない様にして下さい。 |
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CO2ガスを注入し続けると10秒程でミツバチは気絶します。全てのミツバチが気絶してから、ゆっくり5秒数えて下さい。
ミツバチ気絶中もCO2ガスは注入し続けて下さい。(CO2濃度を上げる為) |
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5秒数え終わったら、ビニール袋からキャッチャーごとミツバチを取り出します。 | |
ミツバチが気絶している間に、素早く王籠の中に優しく落とします。
王籠のフタを閉めれば作業は終わりです。 |
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女王蜂のみを王籠に入れたい場合は、気絶している女王蜂を王籠に入れて下さい。指やピンセットで羽を持って王籠に置いて下さい。 | |
5秒のCO2曝露でミツバチは15~30秒ほど気絶します。王籠にミツバチを落とすだけの作業なので、15秒も気絶していれば十分です。
作業の遅い方はCO2曝露を15秒にしてください。そうすればミツバチは1~2分程気絶します。 |
最終的には、色々試してみて一番自分に合った方法を採用してください。ここに記載されている方法が全てではありません。
例: 王籠中に蜂蜜を入れて誘き寄せたり、巣門前で屯しているミツバチを手で取り王籠内に落とし入れる等。