働き蜂が増えてくると、巣箱1つでは狭くなってきます。そういう時は継箱を使用して2~3段と巣箱を積み重ねていきます。ここでは2段群からを強群と呼ぶ事にします。

強群の内部検査方法ですが、基本は弱群・中群と変わりません。 しかし、強群は王台を作り自然分蜂しやすいので、内部検査する時は集中して王台を探す必要があります。

現女王蜂の羽を切っていれば、一回だけ分蜂を阻止できます。しかし、王台を2個以上見逃していると産まれてきた新女王蜂が分蜂する可能性があります。詳しくは、分蜂と女王蜂の関係に目を通して下さい。

強群は、オス蜂巣房が多いのでヘギイタダニの繁殖が早いです。ダニを見つけたらオス蜂巣房を切り取るなどして、ダニの繁殖源を減らし採蜜するまで粘りましょう。ダニが多過ぎる場合は、素直に薬剤を使って1日でも早くダニを除去しましょう。ハチミツが溜まっていれば薬剤を使う前に回収しましょう。

強群(2段群以上)の内検手順

天候

強群は、働き蜂数が多く内部検査時にとても騒ぎます。 なるべく巣箱内部の働き蜂が少ない天候が良い日に内部検査しましょう。

煙は使った方が良い

弱群・中群程度なら、煙無しで直接内部検査しても蜂は騒ぎにくいですが、強群になると煙無しだと蜂が騒ぎまくり辛くなる可能性があります。

継箱のフタを開ける

継箱をフタを開けます。フタと継箱の間にハイブツールを突っ込んで上に押し上げてください。梃子の原理で、簡単にフタを外す事が出来ます。

継箱の巣枠を全てチェックする①

この群は8枚群を2段にしたばかりなので、上部の継箱部にミツバチが少ないです。

2段にする際は、有児枠2枚と新巣枠一枚を継箱にセットしていました。群が大きくなるにつれて、継箱内部も働き蜂で溢れかえります。

継箱の巣枠を全てチェックする②

まず継箱の巣枠を全て調べます。巣箱と継箱の間に隔王板を設置していない場合、女王蜂は上の段(継箱)に居る事が多いです。

詳しいチェック方法は下の方で説明しています。

隔王板について

継箱の巣枠に集中してハチミツを貯めたい場合は、継箱と巣箱の間に隔王板を設置します。(女王蜂は下の巣箱に残す)

下の巣箱のチェック

上の継箱の検査が終わったら、継箱を外して巣箱の内部検査になります。画像の様にハイブツールを使って継箱を外して下さい。

継箱を外した状態

外した継箱は、近くにそっと置いて下さい。置く時に働き蜂が多少潰れますが気にしないでください。

強群は働き蜂が多く、働き蜂を潰さずに作業する事は困難です。

継箱のハチが騒ぐ場合は、継箱にフタをして下さい。

巣箱の内部検査

煙を沢山かけて、蜂を大人しくさせてから内部検査に入ります。この巣箱には計6枚の有児巣枠があります。

巣枠が動かない時

強群は、プロポリスで巣枠を巣箱に固定している事が多いです。巣枠が動かない場合は、ハイブツールを巣箱と巣枠の間に突き刺して、巣枠を動く様にしてから取り出して下さい。

女王蜂は探さなくても良い

女王蜂は無理に探さなくても大丈夫です。強群中の女王蜂を探すのは大変過ぎます。巣房に卵が1つずつ産みつけられている事を確認するだけで十分です。

女王蜂にマーキングをすると簡単に見つけられます。女王蜂を見つけるのが簡単な弱群の内にマーキング作業をした方が良いでしょう。

変性王台が沢山出来るている場合は、女王蜂が急死した可能性があります。とりあえず王台は全て潰して、次の内部検査時に巣房に卵が産みつけられているかを確認して下さい。卵が確認できなかった場合、女王蜂不在群と判断できます。

王台のチェック

王台が出来やすい範囲を赤線で囲みました。働き蜂が何重にも重なっていて王台の確認が難しい時は、巣枠から働き蜂を有る程度巣箱内に振り落としてから王台チェックしましょう。

巣枠上の働き蜂は、息を吹きかける事でも退かす事ができますがとても騒ぎます。一部の働き蜂を退かしたい場合は手でそっと払いましょう。

働き蜂が多いと王台は見つけずらい

働き蜂が多いと画像のように王台がとても見つけづらくなります。集中して探しましょう。

発見した王台

発見した王台は、中を覗いて卵・幼虫が居るか確認するのも良いです。強群化すると空の王台も沢山作られます。

卵・幼虫が居ない空の王台なら、完全に除去しなくても大丈夫です。

王台の中身

幼虫が居た場合、こんな感じになっています。幼虫が見えるでしょうか?

王台を潰す

王台内部に卵や幼虫が居た場合は必ず潰します。フタがされている王台も必ず除去して下さい。ピンセットを使うと狭い場所の王台も簡単に除去できます。

重要:王台を潰す行為とは、王台中の卵・幼虫・蛹を完全に破壊・除去する事です。ただ単に手で王台を変形させるだけでは意味がありません。

王台が変形しても、内部の卵・幼虫・蛹が生きていれば、王台は復元され新女王蜂が産まれてしまいます。

内部検査の終わり

全ての巣枠をチェックしたら内部検査は終わりです。さらに働き蜂を増やしたい場合は、新しい巣枠を追加して下さい。

今回は巣箱から有児枠を2枚抜いて継箱に移し、巣箱には新しい巣枠を一枚追加しました。

巣箱内部を整える

巣枠・給餌器(仕切り板の代わりに使ってます。)を整えてから、継箱を乗せます。

隔王板を使用しているなら、継箱を乗せる前に巣箱の上に設置して下さい。

巣箱の無駄巣対策

隔王板を付けてない場合は、巣枠の上に麻布を敷いて置くと無駄巣対策になります。

そのままにしていると、継箱中の巣枠下部と巣箱の巣枠上部の間に無駄巣が出来てくっ付きます。

継箱を戻した

巣箱の上に継箱を乗せました。継箱を乗せる時に、巣箱と継箱の間に挟まれて働き蜂が5~20匹位潰れますが気にしないで下さい。

一応、継箱を乗せる前に女王蜂が危険な場所に居ないか軽くチェックして下さい。

継箱の無駄巣対策

継箱中の巣枠の上に麻布(タオルでも何でもいいです)を乗せると、巣枠上部の無駄巣対策になります。

フタと巣枠が一体化しない為にも、無駄巣対策はした方が良いでしょう。

継箱にフタをする

継箱にフタをして終了です。内部検査に掛った時間は15分くらいでした。この群はまだ小さく大人しいので比較的楽ですが、気性が荒く働き蜂がとても多い群だと更に時間が掛ります。

内部検査後

内部検査後は外勤蜂が騒ぎますが、時間が経つと落ち着いてきます。 多量のハチが巣箱周囲で騒いでいてもそっとしておきましょう。

住宅地で強群を飼っていると、分蜂しないか毎日心配で精神衛生上よくありません。流蜜期が過ぎたら、群分割(人工分蜂)して小群化すると分蜂熱を無くす事ができます。内部検査も頻度を増やして4~5日に1回すると分蜂させてしまう確率を下げれます。

海外養蜂家の強群の内部検査動画です。全て英語ですが映像を見るだけで一連の流れは解ります。とても丁寧な内部検査なのでテクニックを学びましょう。

戻る