王台（女王蜂）と分蜂の関係

女王蜂と分蜂（巣別れ）の関係を説明します。「女王蜂は１群に１匹」この原則を覚えておけば意図しない分蜂を極力減らせます（幼虫や蛹がいる王台も女王蜂１匹と数えてください）。

ミツバチは分蜂する前に必ず新しい女王蜂（王台）を作りますが、王台には３種類あり分蜂目的で作られない王台もあるので注意が必要です（王台の見た目は殆ど一緒です）。

①分蜂用の王台
ミツバチが分蜂する前に作る一般的な王台です。　主に大きな群で見られ、巣脾枠の隅・下部に５～１２個程作られます。

②変成王台
女王蜂が何らかの原因で急に居なくなった場合に緊急で作られる王台です。　働き蜂巣房を利用して作られるため巣脾枠の色々な場所に３～１０個作られます。　変成王台でも群が大きいと分蜂するので注意です。

③女王蜂交代用の王台
女王蜂の老化・病気・産卵能力低下など群が現女王蜂に不満がある時に、巣の中心付近に大きな王台が１～３個作られます。　交代王台の場合、現女王蜂は群から追い出されるか、若しくは群にそのまま残り娘女王蜂と共に卵を産む事があります（一時的に女王蜂が共存します）。

交代用王台は、主に弱～中群で見られ分蜂しにくいのが特徴です。下記の写真は、交代王台と共存している母と娘の女王蜂です。

④オス蜂巣房が王台化した物
稀にオス蜂巣房が王台のような形に成る事があります。　通常の王台と比べると形が歪な事が多いので、養蜂経験がある程度ある方なら見分けるのは簡単です。　末期の働き蜂産卵群ではよく見かけます。オス蜂の幼虫から女王蜂は生まれないので見つけたら即潰しでOKです。

女王蜂と分蜂
	新女王蜂の鳴き声（クイーン　パイピング）新女王蜂は、王台の中から、そして羽化後にも良く鳴きます。この女王蜂の鳴き声は、他の女王蜂に自分の存在を知らせたり働き蜂を制御するのに使われているようです。補足：分蜂の合図を出すのは経験を積んだ働き蜂です。（ワーカーパイピング）
	良く聞こえる新女王蜂の鳴き声王台の先端が黒くなると、そろそろ女王蜂が産まれます。　この時に良く鳴き声を聞く事が出来ます。鳴き声はとても高い音です。「チューーーー　チュ・チュ・チュ・チュ」という感じで巣箱から聞こえてきます。
	女王蜂１匹と王台１個　（基本）現実では、王台１個という事は滅多にありません。　普通、王台は複数作られますが、ここでは解り易いようにシンプルにしました。この場合は簡単で、現女王蜂が働き蜂を３～６割連れて分蜂します。元の群は新女王に任されます。
	女王蜂１匹と王台が複数　① 王台は複数作られるのが普通です。この場合は２パターンあります。図のパターンは、現女王蜂が働き蜂を連れて分蜂するまでは上の図と同じですが、新女王蜂同士が殺し合いをして１匹残ります。（王台の中の女王蜂も全部殺されます。）
	女王蜂１匹と王台が複数　② 新女王蜂同士が殺し合いをせず、どちらかが分蜂します。女王蜂が群に複数存在すると殺し合うか、分蜂する結果になります。
	女王無し・変性王台が複数　① 現女王蜂が、何らかの原因で急死・除去された場合に良くあるケースで変成王台が多く作られます。変性王台が複数ある場合でも、弱群～中群程度であれば新女王蜂達は分蜂しづらく、最後の１匹になるまで殺し合います。あくまで分蜂しにくいという事で、絶対に分蜂しないとは言い切れません。
	女王無し・変性王台が複数　② 羽化した新女王蜂が次々に分蜂して群が小さくなります。強群だと起こりやすいです。何度も書きますが、女王蜂が群に複数存在すると殺し合うか、分蜂する結果になります。

分蜂には、群の大きさ・貯蜜の量・天候等・・・女王蜂以外にも色々な要素が関係しています。内部検査で王台を見逃し、新女王蜂が産まれてしまっても・・・これら色々な要素が悪過ぎると分蜂できません。

分蜂できずに群内で一時的に共存している女王蜂も、「女王蜂は１群に１匹」という決まりに基づき、何日も分蜂できない場合は現女王蜂か新女王蜂のどちらかが群から追い出されます。

下記に色々な分蜂しやすくなる要素を記載します。

強群だと分蜂しやすい
貯蜜が多いと分蜂しやすい
天気が良いと分蜂しやすい
働き蜂の造巣が悪くなった時は分蜂しやすい
現女王蜂の産卵が止まっている時は分蜂しやすい
環境が悪いと分蜂しやすい（逃避？）
分蜂しやすい種を飼っていると分蜂しやすい

女王蜂の胸の毛を剃ると、殺し合いせずに共存可能と本に書かれてましたが試した事はありません。分蜂せずに長期間共存できるなら、１群に複数の女王蜂という事も可能だと思います。　しかし、群に２匹も女王蜂必要無いですから、やらなくて良いと思います。

王台を破壊する新女王蜂
	産まれたばかりの新女王蜂が、王台を破壊している様子です。王台は、新女王蜂と働き蜂に破壊されます。
	王台中の女王蜂を殺す為に、噛みついて穴を開けています。　「姉より優れた妹など存在しない！」とでも言いたそうです。
	王台を破壊中の女王蜂・働き蜂を追い払った状態です。王台の横に穴が開いて内部の女王蜂の腹が見えます。王台の他の箇所もボロボロでした。
	内部の女王蜂は既に瀕死の状態でした。群の王に成る為には先に産まれた方が超有利です。王台中の無抵抗の相手を一方的にボコボコにできます。

分蜂について更に詳しく知りたい方は下記の本がオススメです。ミツバチの論文をまとめたような本でとても参考になります。　２０１６年１１月に追加した記事も新女王蜂同士の戦いの概要を知るには良いと思います。

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	新女王蜂の鳴き声（クイーン　パイピング）新女王蜂は、王台の中から、そして羽化後にも良く鳴きます。この女王蜂の鳴き声は、他の女王蜂に自分の存在を知らせたり働き蜂を制御するのに使われているようです。補足：分蜂の合図を出すのは経験を積んだ働き蜂です。（ワーカーパイピング）
	良く聞こえる新女王蜂の鳴き声王台の先端が黒くなると、そろそろ女王蜂が産まれます。　この時に良く鳴き声を聞く事が出来ます。鳴き声はとても高い音です。「チューーーー　チュ・チュ・チュ・チュ」という感じで巣箱から聞こえてきます。
	女王蜂１匹と王台１個　（基本）現実では、王台１個という事は滅多にありません。　普通、王台は複数作られますが、ここでは解り易いようにシンプルにしました。この場合は簡単で、現女王蜂が働き蜂を３～６割連れて分蜂します。元の群は新女王に任されます。
	女王蜂１匹と王台が複数　① 王台は複数作られるのが普通です。この場合は２パターンあります。図のパターンは、現女王蜂が働き蜂を連れて分蜂するまでは上の図と同じですが、新女王蜂同士が殺し合いをして１匹残ります。（王台の中の女王蜂も全部殺されます。）
	女王蜂１匹と王台が複数　② 新女王蜂同士が殺し合いをせず、どちらかが分蜂します。女王蜂が群に複数存在すると殺し合うか、分蜂する結果になります。
	女王無し・変性王台が複数　① 現女王蜂が、何らかの原因で急死・除去された場合に良くあるケースで変成王台が多く作られます。変性王台が複数ある場合でも、弱群～中群程度であれば新女王蜂達は分蜂しづらく、最後の１匹になるまで殺し合います。あくまで分蜂しにくいという事で、絶対に分蜂しないとは言い切れません。
	女王無し・変性王台が複数　② 羽化した新女王蜂が次々に分蜂して群が小さくなります。強群だと起こりやすいです。何度も書きますが、女王蜂が群に複数存在すると殺し合うか、分蜂する結果になります。