ここでは無王群の処置方法を記述していますが、まず無王群と決めつける前に下記の確認事項を頭に入れて再度内部検査をして下さい。

確認事項

①巣房内に卵は有るか?

巣房内に卵が産みつけられていれば女王蜂は居ます。女王蜂は1つの巣房に1つづつ綺麗に卵を産みます。

卵がある場合、女王蜂は間違いなく群に存在するので無王群ではありません。

女王蜂が巣房に産卵中だったり、巣箱の壁に張り付いている時は、内部検査で見つけるのが困難です。どうしても女王蜂を発見したい場合は、時間を置いて再度内部検査して下さい。

②働き蜂が産卵している場合

画像の様に、巣房内に複数の卵が有る場合は働き蜂の産卵です。女王蜂が居ない可能性が高いです。

働き蜂が産んだ卵は、女王蜂のように綺麗に産みつけられていません。巣房内にバラバラに複数産みつけられます。

弱群の場合は、女王蜂が居るのに働き蜂産卵が起こる事があります。しかし、弱群は働き蜂が少なく女王蜂を見つけるのが容易なのでしっかり探して下さい。

③変成王台が作らている

変成王台が作られている時は、女王蜂が居ない可能性がかなり高いです。

変成王台とは、女王蜂が急に居なくなった時に作られる緊急用の王台です。働き蜂巣房を利用して作られます。

通常の王台の場合は、単なる分蜂熱の場合が多いです。分蜂前は、女王が卵を産むのを止めている時もあるので、無王群と間違わないようにしましょう。

④交尾前の女王蜂(未交尾女王蜂)は居るか?

女王蜂を全く見つけられず、巣房内にも卵が全く無いという状況でも交尾前の女王蜂が群に居る事があり有王群です。

交尾前の女王蜂は小さく見つけにくいので、交尾前女王蜂を探すという作業は避けた方が良いです。

新女王蜂が産まれる前には必ず王台が作られています。 無理して新女王蜂を探すのではなく、定期的な内部検査で王台から新女王蜂が産まれるという事を前もって知っている事が重要です。

強群内の未交尾女王蜂

働き蜂が多い群(強群)から、未交尾女王蜂を探すのはとても大変です。一番厄介なのが、女王蜂は羽化した形跡はあるが、幼虫が内部に居たりフタがされた王台が残っている場合です。

未交尾女王蜂が産まれていた場合、王台をそのままにすると分蜂する可能性があります。 未交尾女王蜂が産まれてなかった場合に王台を全て潰すと・・・真の無王群になってしまいます。

この状態になった群が有ったんですが・・・未交尾女王蜂を探す気力が無かったので有児王台を全て潰して、有児巣枠を加えました。

⑤王台に穴があいている場合

写真のように王台の先端が黒ずんで穴が開いている場合は、既に新女王蜂が羽化した後です。群の中に交尾前の女王蜂が居る可能性が高いです。

ここで問題なのが、いつ女王蜂が産まれたかという事です。 内部検査を定期定期(一週間に一回)にしてる場合は予想できますが、内部検査をしないで放置していた群の場合、いつ女王蜂が産まれたか全く解りません。

新女王蜂は羽化後1~2週間経てば交尾飛行へ出かけますが、交尾飛行に失敗し既に死んでいる可能性もあります。

そのまま群を無王のまま放置すると、働き蜂産卵が起こります。

王台の注意点

写真の王台は先端に穴が開いていますが、女王蜂が羽化した物ではありません。上で説明した女王蜂が羽化した王台と勘違いしないようにして下さい。

このような王台を見つけたら、中を覗いて幼虫が居るかどうか確認して下さい。幼虫が居れば群が新しい女王蜂を作っている最中です。

この王台にフタがされ先端が黒ずんできて女王蜂が羽化します。巣碑が元々黒い場合は、黒っぽい王台が作られて先端が黒ずんでいるのが解りにくくなります。

日頃から王台を観察してると、羽化前の王台と羽化後の王台の見分けは簡単にできるようになります。

羽化済み王台については詳しくはここにまとめました。

働き蜂産卵群が作る変性王台

画像は、働き蜂産卵群が作った変成王台です。中にはオス蜂の幼虫が入っています。

働き蜂産卵中でも末期には変性王台が沢山作られます。もちろん、有精卵ではないので新女王蜂は産まれてきません。王台があっても働き蜂産卵してる時は注意が必要です。

群の女王蜂が急に居なくなってしまった時は、女王蜂消失後2~3日経ってから変性王台が複数作られます。定期的に内部検査をしていれば、変性王台を見逃すという事を避けれます。

どうしても女王蜂が居るか解らないという時は、他群から卵が沢山産みつけられている有児巣枠を持ってきて女王蜂不明群に入れてみましょう。 女王蜂が居なければ変性王台が作られ始めます。

有児巣枠は下記の画像の様な物が最適です。卵・幼虫・蛹も沢山あると良いです。



無王群の処置方法

無王群の処置方法は、①自力で新女王蜂を作り交尾に成功させる。 ②交尾済み女王蜂を買って無王群に導入する。の二つがあります。

オス蜂が少ない場合(500匹未満)や飼育群数が1~3群(弱~中群)の場合は、交尾成功率が低すぎるので養蜂家から交尾済み女王蜂を購入する事をお勧めします。近くに大群を飼っている人が居れば、交尾に成功する確率は上がるので新女王蜂を作っても良いでしょう。

自力で女王蜂を作る場合

無王群の種類

ここでは③真の無王群~④働き蜂産卵の無王群の対応説明になります。

交尾済み女王蜂が居ない間は、卵を産む女王蜂が居ない⇒卵が無い⇒幼虫も産まれない⇒育児をする必要がない⇒育児が無いので働き蜂達の負担が減り寿命が50~70日と長くなります。

再チャレンジ方法

交尾に成功するまで、他群から持ってきた有児巣枠や王台を投入し続けます。処女女王蜂が余ってるならそれを導入しても良いです。

私は基本的にこの方法を採用しています。有児巣枠を追加する方が、新しい働き蜂の補充にもなるのでお勧めです。王台や処女女王のみを投入する場合は、働き蜂の寿命を考慮して下さい。

女王派遣方法

他群から交尾済み女王蜂を抜いて無王群に導入します。 女王蜂を取られた群は変成王台を作り始めます。

女王を抜いた群が交尾飛行に失敗し、真の無王群になった時は、また女王蜂を他から抜いて有王群に戻す事もできます。

私は、時々やってます。分蜂熱がある群から女王を抜くと良いです。

交尾成功率を上げる方法

所有群数が少ない(オス蜂が少ない)と交尾成功率が低いです。王台ありの群を更に分割し、交尾成功率の低さを補います。交尾に成功した女王蜂の群に、交尾失敗群を合同する事もできます。

あまり小さい群に分割し過ぎると群が全滅し易くなるので注意して管理してください。

無王群処置のまとめです。まず女王蜂が本当に居ないかしっかり調べる事 ・ 所有群数が少ない(1~3群)なら交尾済み女王蜂を買う ・ 所有群数が多い(オス蜂が多い)なら上記の方法で何とかなります。オス蜂は普段は全く役に立ちませんが、交尾の時は重宝します。

無王群がどうにもならない時は、他群に合同して下さい。真の無王状態が長いと厄介な働き蜂産卵が始まってしまいます。

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