ここでは郵便局に輸送を依頼する事を前提に、高温期のミツバチ輸送について考えました。
西洋ミツバチの高温致死温度は約46度です。 致死温度は約46度ですが、その付近の温度でも西洋蜜蜂は相当なダメージを受けると予想できます。 夏など気温30度以上の期間にミツバチを輸送する時は気をつけなくてはなりません。 輸送トラックの貨物室内は簡単に50度付近まで室温が上昇するとのデータもあります。
ではどうやって暑い時期に蜜蜂を輸送すればいいのか? 某大手移動養蜂家の方は大群の冷蔵輸送を行ってるようです。 蜜蜂群を冷蔵庫を搭載したトラックに乗せて運ぶという物です。初回はミツバチが大量死して実験失敗したようですが、再チャレンジで無事成果を出しています。トラックを貸し切って実験してるので個人や零細養蜂家が真似できる事ではありません。
蜂数が多い1群なら発砲スチロール箱で覆って小さい空気穴をつければ冷蔵輸送(0~5度)できそう???ですが・・・大群を輸送する場合、育児の保温の為に大量に酸素を消費するのでトラック冷蔵庫内が酸欠になる恐れがあります。 色々リスクがありそうなので、私の様な副業零細養蜂家が実験する事では無いと判断しました。 そして夏は、交配用ミツバチの需要も無いので私の様な定置養蜂家はハチを輸送する必要がそもそも有りません。
補足(2014年5月): 親切な方が教えてくれましたが、1群単位の冷蔵輸送は既にあるそうです。巣箱をダンボール箱に入れて空気穴を開けて冷蔵輸送するそうです。
群の冷蔵輸送はあきらめて、夏でも少し需要がある交尾済み女王蜂を安全に輸送する方法を考えました。 発送して1日で女王蜂が届くなら、発送用ダンボール箱に大型の保冷剤を一緒に入れておけばギリギリ何とかなりますが、沖縄から本土に出荷した場合、輸送に2~3日掛ります。
輸送日数が1日多いので、普通に保冷剤を入れるだけでは保冷剤が持続できず夏の暑さに全く対抗できません。ここで考察する方法は、保冷剤の持続を伸ばす為に、発泡スチロール箱を加工して使いました。冷蔵輸送(0~5度)も考えましたが、蜂数が少なすぎるので女王蜂が凍死しそうです。(実験の結果、冷蔵庫に密閉した発砲スチロール入れた場合、内部は6時間ほどで5度まで下がりました。確実に凍死します。)
涼しい季節はダンボール箱に隔王籠を貼りつけるだけです。夏にこの方法で送ると女王蜂が死ぬ可能性が高くなります。 発送して一日で相手に届くなら、大型の保冷剤をタオル等で包んで一緒に入れておきましょう。小さな保冷剤はダイソーで100円で売っています。 |
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輸送に2~3日かかる場合の輸送箱概要図です。 保冷剤を発砲スチロールの中に入れ、隔王籠を発砲スチロールのフタに突き刺します。これだと、保冷剤が少しは長持ちして、隔王籠内部も暑い部分と寒い部分に分かれ、女王蜂と働き蜂が自分が好きな温度の所に集まる事ができると考えました。 発砲スチロール箱に隔王籠を入れて密閉してしまうと、容器内部温度が約8度位まで下がり凍死します。 |
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準備した物 ダイソーで、ゆうパック規格60サイズ用の発砲スチロールと350mlの保温材を買いました。 保冷剤を包むオムツを用意しました。保冷剤を包む事で、保冷剤が溶けにくくなります。 |
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フタに穴を開けた 発砲スチロールのフタに穴を開けました。隔王籠に合わせた大きさに開けました。 |
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保冷剤を包んだ 凍らせた保冷剤をオムツにセットしました。発砲スチロール箱+オムツで保冷剤が外気温の影響を受けずらくなり長持すると考えました。 |
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保冷剤をセットした 発砲スチロール箱にオムツで包んだ保冷剤をセットしました。 |
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フタをした 発砲スチロール箱にフタをしました。フタに開いている穴に隔王籠を突っ込みました。 |
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隔王籠を用意した この隔王籠は釣り具やで売っています。詳しくは隔王籠の様な物を参考にして下さい。中に女王蜂と働き蜂が入っています。足場用に巣碑の切れ端も入れています。 |
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隔王籠を穴に突き刺して、発泡スチロール箱をダンボール箱にセットしました。この隔王籠には上下に空気穴が複数開いています。 隔王籠の上部は、外に飛び出しているので外気温に近く、下部は容器内の保冷剤で冷やされた空気に接しています。 発砲スチロール箱は、ゆうパック用(60規格)ダンボール箱にぴったり入ります。 |
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ダンボール箱を閉じた 最後にダンボール箱を閉じて発送します。涼しい季節の発送よりお金(材料費250円位)と手間が掛りますが、女王蜂が輸送中に死ぬ確率が少し低くなるんじゃないか?と思っています。 現在、色々試して女王蜂が死なない輸送法を研究中です。 |
まとめます。真夏にミツバチ群や女王蜂の発送は避けた方が良いです。輸送環境次第ではどんなに頑張っても暑さで死にます。近場にもっていくなら自家用車でクーラーを効かせて運ぶのが一番確実です。 涼しい季節でさえ輸送中に蒸殺する事もあります。輸送中にミツバチがどう扱われているかこちらは全く解りませんからね。正直、運も大事です。下の画像は暑さで死んだミツバチです。
蜂の酸素消費量を考慮し魔法瓶に入れて輸送するという事も考えましたが・・・魔法瓶が高いです。
こんな事までして輸送する必要があるのか?と自問自答した結果・・・アホな事は止めました。自然に逆らう程コストが掛り元が取れなくなります。