液糖はハチミツと同じ性質を持っています。 ハチミツと同様に糖濃度が70~80%あれば腐敗しずらく、長期間結晶化しないので便利です。 市販されている主な液糖は、異性化液糖という名前で売られています。
大手養蜂園では、ミツバチの給餌用として異性化液糖(ブドウ糖・果糖混合液糖)が一斗缶で売られています。 価格+送料が安いならそれを購入するのも選択肢の一つです。
液糖を自作する最大のメリットは、大手養蜂園から一斗缶で買うより安い事です。 本来、異性化液糖は砂糖より安い甘味料ですが、一般の方は液糖製造業者からの直接入手が難しく中間業者を通す事で割高になっています。
ブドウ糖や果糖の粉末が入手できるなら、それを水に溶かすだけで簡単に液糖が作れます。 沖縄県では、浦添市にある株式会社大東商事様が果糖粉末を小売りしています。
液糖作りの概要は、上図になります。しかし、実際はこんなに上手く反応は進まず、ショ糖・ブドウ糖・果糖・カラメル・その他の混合物になります。 まあ、細かい事は気にしないでください。扱い易くてミツバチが食えば良いのです。
寸胴鍋と砂糖(グラニュー糖や上白糖)を用意してください。大量に作らないとガス代が勿体ないので、私は一度に10kg程液糖を作ります。 砂糖は7~8kg使います。 作業時間は1時間位です。寸胴鍋はリサイクルショップで安い物(1000~3000円)を買うと良いでしょう。 まず、鍋に砂糖1kgに対して水を200ml入れて弱火にかけます。 砂糖が焦げないように、かき混ぜながら加熱してください。 ここで加える水の量が多すぎると、液糖化するまで相当な時間が掛かるので水は絶対に入れすぎないで下さい。 ある程度煮込むと砂糖が溶けて濃い砂糖水になります。しかし、この段階では、まだ単なる濃い砂糖水です。温度が下がれば、また砂糖固体に戻ってしまいます。 |
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砂糖が全部溶けたら酢を添加します。酢は100円の一番安い物でかまいません。酢の臭いが苦手な方は、クエン酸粉末やレモン汁で代用可能です ビタミンC(酸)で液糖を作った記事はコチラを参照して下さい。 |
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砂糖1kgに対して酢を20~30ml添加しましょう。この酢(酸)が触媒の役目を果たし、砂糖水を液糖に変化させます。酢を沢山入れると早く液糖化しますが、臭いがキツイのでお勧めしません。 酢を混ぜた餌を2年近くミツバチに与えていましたが影響は無かったです。(現在は砂糖固体を餌として使用) |
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酢を添加後、吹きこぼれに注意しながら強火で煮込みます。 強火で煮込み中に小さい気泡が増えてきたら、一旦火を消して砂糖水中の気泡が落ち着くまで待ちましょう。 その後は、砂糖水が透明になるまで弱火で少し様子を見てください。砂糖水が透明になったらまた強火でグツグツと煮込んでください。(大きな泡は吹きこぼれないので大丈夫です。) 砂糖液が吹きこぼれるとキッチンが大変な事になります。 私は2度吹きこぼれて大変な目にあいました。気を付けてください。 |
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酢を加え煮込み中の砂糖水です。 はじめは写真の様に無色透明です。 これを強火で煮込むと徐々に茶色になります。 |
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砂糖水は、液糖化が進むと薄い茶色に成ります。砂糖水がキツネ色になったら、液糖化が十分に進んだ印なので火を止めてください。そのまま煮込み続けると焦げるので注意です。(液糖化に掛る時間は、火力・鍋の大きさ・酸の量に依存します。) この煮込み終わり直後は、最初に加えた水の大部分は蒸発して無くなっています。その為、再度砂糖1kgに対して水を200~300ml加え約70~80%濃度の液糖に調整します。 水は少しづつ加えてください。一度に入れると液糖と激しく反応して吹きこぼれる事があります。 水を加えた後は、液糖が冷めるまで半日ほど待ちます。 液糖の冷却を急ぐ場合は、液糖を鍋ごと水に浸しましょう。 そうすれば、大量の液糖も60分位で手で触れる位の温度に成ります。 |
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酵母入り液糖の作り方(応用編) 乾燥酵母は代用花粉に利用されるほど栄養豊富です。その酵母を液糖に添加する事もできます。(昔、私がよく作っていました。) 作り方は、冷却中の液糖に乾燥酵母を沢山入れてフタを閉め、半日ほど酵母を液糖に馴染ませた後、攪拌します。 |
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液糖のボトル詰め 液糖が冷めたら漏斗を使って保存容器に移します。 写真の液糖が黒いのは酵母を添加したからです。通常の液糖はキツネ色です。 冷めた液糖に粘度があり過ぎる場合は、再度弱火で焦げないように加熱しながら水を少し加え糖濃度を下げてください。 注意: 作った液糖の粘度は冷めないと解りません。 糖濃度が70~80%ならハチミツと同じようにトロトロしています。 |
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作った液糖は、ペットボトルに小分けして保存すると便利です。糖濃度が70~80%あれば、ハチミツ同様に常温で長期間保存が出来ます。 液糖の保存に使用するペットボトルは炭酸飲料用の物が頑丈でお勧めです。 |
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酵母を添加した液糖の注意点 液糖に酵母を添加した場合、糖濃度が低いと少しづつ発酵してペットボトルがパンパンになる事があります。 そのため酵母を添加した液糖は、早めに使い切りましょう。(夏は特に発酵し易いです。) 液糖が発酵してくると、写真の様に小さな泡が見られるようになります。 |
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発酵しすぎてパンパンになったペットボトルです。ここまで発酵してしまったら、迂闊にペットボトルのキャップを開けてはいけません。 | |
キャップを開けると・・・発酵した液糖が1m位吹き出ました。 これは炭酸飲料を振ってから直ぐ開けると中身が飛び出す現象と同じです。 |
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周囲は液糖まみれになり掃除が大変でした。 発酵しすぎたペットボトルを開ける時は、汚れても問題無い場所で少しづつフタを開けて内圧を徐々に下げましょう。 |
液糖作りのまとめです。色々ごちゃごちゃ書いていますが・・・やっている事は単純です。
砂糖と水を煮込む → 砂糖が溶けたら酢を入れる → 少し茶色く成るまで強火で煮込む → 色が付いたら火を止めて水を加える → 液糖が冷めたらペットボトルに小分けして保存する。
何度か作っていると慣れます。ぜひ液糖作りにチャレンジして下さい。