台風が頻繁に来る地域では、必ず強風時を想定して巣箱の設置場所を決めて下さい。台風を甘く見ていると、大切に育てたミツバチが一夜でほぼ壊滅という最悪の事態になります。
巣箱の防風対策は、巣箱にブロック等の重しを乗せるのが一般的ですが、一番効果的な対策は、予め風の通り道にならない場所に巣箱を設置する事です。強風が直接巣箱に当る場所では、ミツバチを守り抜く事が難しいです。
巣箱が少ない場合は、夜に巣門を閉じてミツバチを巣箱に閉じ込め、台風が通過するまで倉庫などに一時避難させると超大型台風が来てもミツバチを安全に保護できます。
2012年の大型台風で巣箱が数箱飛びました。最大瞬間風速が50mを超えるとブロックを2個乗せてても簡単に飛びます。 電柱を折ったりトラックなども横転させてしまう威力の突風が直接当る場所では、生半可な防風対策は無意味です。 |
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私の養蜂場は、このように周りを草や木で覆われているので強風の影響が少ないです。 正し、常時風通しが悪いので夏はとても暑くなります。
台風で飼育群が壊滅的なダメージを受けるよりは、夏の暑さに耐えて作業した方が良いと考えています。 冬は北風の影響が少なく暖かく快適です。 資金があれば、養蜂場の周りをコンクリートの壁で覆いたいのですが・・・現状は自然の植物・地形を生かしたお金の掛らない防風対策になっています。 |
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山奥の養蜂場だと、台風が来るたびに強風で木が折れて散乱するので掃除が大変です。 | |
台風通過後は、なるべく早く巣箱をチェックした方が良いでしょう。巣門が植物の破片で閉ざされている事が時々あります。 | |
強風で折れた木が巣箱に直撃した時の写真です。 台風時は巣箱が心配かもしれませんが、家の中でじっとして命を守る行動をして下さい。 |
巣箱が転倒して中身(巣脾枠)が強風や雨に晒されてしまうと、卵・幼虫・蛹が壊滅的なダメージを受けてしまい群の回復が難しくなります。 女王蜂も死んでしまった場合、群の自力での回復は望めません。
この群は台風の強風で巣箱が転倒し、中身(巣脾枠)が外に放り出されました。(お客さんの群) 発見後、すぐに中身は巣箱に戻したそうですが、何時間外に晒されていたかは解らないとの事です。
台風通過から二日後の様子です。一見、巣門前に外勤蜂も多く、何の問題も無いように見えます。 |
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巣箱内部にもミツバチが多く大丈夫に思えましたが・・・実際は、ミツバチが多いのは巣脾枠の上部だけで巣脾の中央部にはあまり居ませんでした。 | |
巣箱の底にはミツバチの死骸が大量に落ちていました。 これは酷い。 | |
ほとんどの幼虫が死んでいました。巣房内に雨水が入っているようです。 | |
フタがされた蛹も、多くが死んでいるようです。(蛹が死んでいると働き蜂がフタに穴を開けます。)
巣脾枠は、強風に晒されると急速に温度を奪われます。たとえ雨に濡れなくても、卵・幼虫・蛹は保温不足で死にます。 |
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死骸が多い巣脾枠には、既にカビが生えていました。 もう、こうなってしまっては手の施し様がありません。
ミツバチが多く生き残っていれば、自力で巣箱内・巣脾枠を掃除できますが・・・死骸が多すぎる場合は人間が手助けしないと巣箱がカビだらけになります。 |
この様な群を回復させるには、幼虫や蛹の死骸が多い巣脾枠はカビが生える前に捨て、新しい巣礎枠や巣脾枠を与えます。群のダメージが大きい場合は、蛹付き巣脾枠を与えると働き蜂の補充にもなり良いでしょう。(働き蜂付き巣脾枠を与える場合は、群の合同を参照にして下さい。)
ダメージが大きな群は自力回復が出来ない為、人間が内部を掃除したり他群からの助っ人が必要になります。女王蜂も死んでしまった場合は、群の回復を諦めて他群に合同してしまうのも選択肢の一つです。
山城英世氏が発明した2段式暴風柵ひんぷん(特開平11-20624)は、減風率が高く暴風対策として効果が認められています。 この強固な暴風柵で養蜂場を囲ってしまえば、強い台風が来ても安心です。
ネットで調べた所、ひんぷんの販売業者は大和物産株式会社様が見つかりました。 この発明の概要や図が記載されています。
情報提供者:山城英世氏の友人S様