新しい巣枠(巣礎枠)を追加するタイミングは、無駄巣が作られたり一番外側の巣脾枠に働き蜂が多くなってきた時が最適です。 巣枠(巣礎枠)を追加する場所は、群の状態を見て外側に追加するか or 内側に追加するか決めます。

弱群の場合は、内側(巣脾枠の間)に新しい巣枠を追加すると育児圏の保温に支障がでる事があるので、一番外側に順次追加していくのが無難です。

巣枠・巣礎・巣脾の説明

「巣枠? 巣礎枠? 巣脾枠??? 意味がわからない」という方の為に用語の説明をします。

西洋ミツバチの巣枠には国により色々な規格がありますが、日本で一般的に使われている物は標準規格巣枠です(写真の物)。

巣枠に、巣の元になる巣礎シート(スソシート)を張り付けた物を巣礎枠(スソワク)と呼びます(画像参照)。

巣礎シートは、巣枠に通した針金の上に張り付けられています。

巣枠に巣礎シートを張る意味とは?

巣枠に巣礎を張ると、ミツバチはそれを基礎にして巣を作っていきます。

ミツバチは巣礎が無くても自力で巣を作る能力がありますが、巣礎によりミツバチに巣を作らせる位置を指定させると人間の管理が楽になります。

巣脾(スヒ):

巣脾(スヒ)とは、ミツバチが巣礎(スソ)に巣を作った物の事を言います。

巣脾枠(スヒワク):

巣脾枠とは、ミツバチが巣礎枠に巣を作った物の事を言います(写真の物)。

ミツバチは巣礎枠を、巣脾枠化させてから巣房として使います。 巣房は、幼虫を育てたりハチミツや花粉を貯める場所として使われます。

巣礎(スソ)と巣脾(スヒ)の比較:

巣礎が半分巣脾化している写真です。巣房が作られている部分が巣脾です。

養蜂はややこしい用語が多く面倒ですが、初心者の方は気にしないで下さい。 正式名称が解らなくても写真を見れば大体解ると思うので・・・写真を中心に見て下さい。

新しい巣礎枠追加のタイミング

タイミング①: 無駄巣がある時

写真のように巣脾枠に無駄巣が作られてる時は、無駄巣を除去後に新しい巣礎枠を無駄巣が作られていた場所に追加してください。

ミツバチは新しい巣礎枠を追加しない限り、何度無駄巣を除去しても同じ場所に再度無駄巣を作り始めます。

タイミング②: 一番外側の巣礎が巣脾化した時

外側の巣礎枠が巣脾枠化した時に新しい巣礎枠を追加すると、無駄巣対策にもなり一石二鳥です。

注意: 巣礎枠を追加しても意味が無い時

写真の様に巣脾枠に付いている働き蜂が少ないなら、巣礎枠を追加する必要はありません。

働き蜂が増えてから追加して下さい。

巣礎枠追加のタイミングは、上記の条件を参考にして下さい。ミツバチが巣(巣脾枠)を作るには多くのエネルギー(砂糖)を必要としますので、巣作りを促進させたい時は餌を多めに与えて下さい。

巣礎枠を追加する場所について

追加する場所①: 一番外側に追加する

新しい巣礎枠を一番外側に追加する方法です。とても無難な追加方法で問題が起きる事はありません。

外側になら、予め多め(2枚位)に巣礎枠を追加しても大丈夫です。

追加する場所②: 内側に追加する

働き蜂が多い群なら巣礎枠を内側に追加できます。 内側とは巣脾枠と巣脾枠の間の事です。

内側に巣礎枠を追加すると、ミツバチは外側に追加するより速く巣脾枠化します。

内側に追加する方法:

まず、画像のように巣脾枠の隙間を広げ巣礎枠が設置出来るほどにします。

内側に追加する方法:

巣脾枠と巣脾枠の間に新しい巣礎枠を追加します。

内側に追加する方法:

巣礎枠を設置したら、周囲の巣脾枠を整えて完了です。

とても重要な事なので2回書きますが、巣礎枠を巣脾枠化するには多くのエネルギー(砂糖)が必要です。 新しい巣礎枠設置後は餌を多めに与えてください。

初心者の方は深く考えず、巣礎枠を追加する時は一番外側から追加して下さい。詳しい事は下記の断面図で説明しています。

巣礎枠の追加場所のまとめ

一番外側に巣礎枠を追加した場合:

巣枠(巣礎枠)を一番外側に追加する方法は、ミツバチに対する負担が無く弱群から強群まで対応可能な一番無難な方法です(推奨)。

ミツバチは何も考えずに巣を構成している訳ではありません。 保温に不利な外側は貯蜜用に、保温に有利な内部は育児用として使います。内部に巣枠を挿入するという事は、それを乱す行為に等しいです。

一番外側に巣礎枠を追加した場合:

画像の様に一番外側に巣礎枠を追加します。

一番外側に巣礎枠を追加した結果:

最終的に、一番外側に追加した巣礎枠は貯蜜枠になる事が多いです。

稀に例外はありますが、ミツバチは保温が必要な育児用の巣脾枠を外側にする事は無いです。

内側に巣礎枠を追加した場合:

次は、内側(巣脾枠と巣脾枠の間)に巣礎枠を追加する場合です。 この方法は、巣礎枠の巣脾枠化が速いですが弱群には向きません。 働き蜂が多い中群~強群向けです。

理由は、一時的に保温効率が悪くなりミツバチに負担が掛かるからです。

内側に巣礎枠を追加した場合:

追加する場所は、中群なら貯蜜枠と育児枠の間が良いでしょう。 働き蜂が多い強群なら、どこに追加しても大丈夫です。

内側に巣礎枠を追加した結果:

最終的に、内部に追加した巣礎枠は育児用の巣脾枠になります。

内側に巣礎枠を追加する時の注意点:

弱群は保温力が弱く、巣礎枠の追加方法にも制限があります。

通常、卵・幼虫・蛹を育てている育児用巣脾枠は常に34~35度に保温されています。 育児用巣脾枠は、巣箱内部の保温効率が良い場所で保温圏を形成しています。

内側に巣礎枠を追加する時の注意点:

バランスが取れている保温圏に巣礎枠を追加してしまうと、保温圏が分断されて保温効率が悪くなります。

適応力と保温力が高い中~強群なら、保温圏分断等・・・多少のトラブルは対応可能ですが、弱群だとそうは行きません。

巣礎枠を人間の手によって強引に保温圏に割り入れる事は、ミツバチにとってトラブルそのものです。

「書いてある事が解らない・・・」という養蜂初心者の方は、とりあえず蜂が増えてきたら外側に巣礎枠を追加するとだけ覚えてください。

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