女王蜂生産キットは移虫作業が必要ない便利な養蜂道具ですが、弱群で使用する際は多少コツが必要です。 ここではそのコツを解説します。(写真は使い回しの物です。ご了承下さい。)
今回使用する女王蜂生産キットです。王椀を110個セットできます。
女王蜂生産キットには何種類かあるようですが、ここでは私が使っている物を使用します。(浦添養蜂園で販売してます。) |
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組み立てます。
組み立て方に制限はありません。自分が使い易い方法で組んでください。 |
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使用する弱群です。
弱群は、①餌を集める力が弱い。 ②保温力が弱い。 ③保育力が弱い。 という負の特徴があります。 強群は弱群とは逆の特徴になります。 |
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3枚群です。1枚は女王蜂生産キット用です。
最低でもこの位のミツバチ数が必要だと感じます。(気温28度前後) 注意: 気温が20度以下だと、保温力が弱い弱群では女王蜂キットの使用は避けたほうが良いです。 |
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ミツバチは密度が上がるほど、保温力と保育力があがります。
女王蜂生産キットを使用する群は、余計な巣脾枠を取り除きミツバチの密度を上げましょう。 |
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まず最初に、弱群に貯蜜+貯花粉が多くなるまで給餌を続けます。(超重要)
5日程給餌を続ければ、目に見えて貯蜜が多くなってきます。 貯花粉が少ない場合は、代用花粉を与えます。 給餌は、女王蜂の産卵促進+保育蜂の活性を高めます。 |
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女王蜂生産キットは110個の王椀をセットできます。 | |
110個も必要ない場合は、必要な数だけ王椀をセットして下さい。 | |
王椀がセットされていない巣房はガムテープで塞ぎます。 | |
必要な数の王椀をセットしたら、女王蜂生産キット王籠をミツバチに3~5日預け掃除させます。 掃除は、弱群への給餌中に済ましておくと効率が良いです。
キットを預ける群は、どの群でも構いません。 他群に預けてもしっかり王椀を掃除をしてくれます。(なるべくミツバチが多い群が良い。) 働き蜂による王椀の掃除が甘いと女王蜂を王籠に閉じ込めても、なかなか王椀に産卵しません。 |
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弱群への継続した給餌 + キット王籠の掃除が済んでから、弱群の女王蜂をキット王籠に入れ弱群に戻します。(群の中心部にキット王籠を設置して下さい。)
上記の条件が満たされていると、キット王籠に入れた女王蜂は3~10時間程で全ての王椀に産卵を済ませます。 |
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24時間後にキット王籠に閉じ込めている女王蜂が、王椀に卵を産んだか確認します。
2~3日経っても女王蜂が王椀に卵を産まない場合は、群の状態が良くない or キット王籠の掃除が完了していない時です。 女王蜂の王椀への産卵が2~3日と遅い時は、たとえ王椀に産卵しても孵化した幼虫が育児放棄され餓死する事が多いです。 |
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王椀内に卵が確認できたら、キット王籠の蓋を取り外します。(女王蜂も解放されます。)
こうする事で卵が孵化した時に、王椀内の幼虫に保育蜂がアクセスしやすくなります。 |
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卵は3~4日で孵化します。 食料が足りないと生まれた幼虫に餌が回らず餓死するので、群の状態を見て貯蜜が減ってきたら給餌して下さい。 | |
孵化して24時間経った幼虫です。
幼虫は孵化してから2~3日(60時間位)経つと、保育蜂に除去されだすので孵化後は早めに王台作製群に与えてください。 ポイント: 大きな幼虫は女王蜂製作には使えないので、除去してくれるのは都合が良い事でもあります。 幼虫が除去された王椀は再利用が可能なので、必要ない幼虫はそのまま放置して下さい。 |
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幼虫が確認できたら、キット王籠裏の蓋を外し、幼虫付き王椀をゆっくり引き抜き回収します。 | |
回収した幼虫付き王椀です。 幼虫が付いてる王椀は優しく扱ってください。 | |
孵化直前の卵が付いてる王椀も、幼虫付き王椀の代わりになれます(卵付き王椀)。
ただ、卵の孵化率は飼育環境により40~80%と変化しますので、卵付き王椀を使用する場合は、幼虫付き王椀より多めに王台製作群に与えましょう。 |
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卵付き王椀を使用する時は、孵化直前の3日目の横たわった卵を使用して下さい。
これには理由があり、卵の孵化に時間が掛かるとその間に変成王台が沢山作られ、与えた卵が不要と判断され破壊される事があるからです。 |
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幼虫・卵付き王椀は王台作製群に与えます。
王台作製群とは、ミツバチが多い無王群の事です。 王椀を与える前に変成王台は全て除去して下さい。 |
以上で説明を終わります。
春など気温が不安定な時期は、中~強群を使ってください。