無駄巣とは、巣枠外の場所に作られた巣の事を言います。ミツバチの造巣が盛んな時期(春と秋)によく見られます。巣枠外にある巣は管理できず百害あって一利なしですので早めに除去しなくてはなりません。

無駄巣を放置すると、どんどん大きくなり除去が面倒になっていきます。 また、無駄巣に作られた王台は発見が難しく分蜂の原因にもなります。

無駄巣の種類

巣枠横の無駄巣:

巣枠の横に造られる無駄巣で、一番見る機会が多いでしょう。

巣脾枠から横に飛び出してくる無駄巣:

巣脾枠からランダムに横に飛び出してくる無駄巣です。

巣枠横の無駄巣・巣脾枠から横に飛び出してくる無駄巣を放置した場合:

巣枠横に作られる無駄巣を放置すると、最終的にこのようになります。

巣箱のフタに造られた無駄巣(小):

巣箱のフタに造られる無駄巣です。

巣箱のフタに造られた無駄巣(中):

さらに造巣されたフタ無駄巣です。フタ無駄巣は貯蜜に使われる事が多いです。

巣箱のフタに造られた無駄巣(大):

とても大きなフタ無駄巣です。 ここまで大きくなると重量も増し除去がとても面倒になります。

また、フタ無駄巣が下の巣枠と一体化した場合、巣箱を開けるのに力が要ります。

フタ無駄巣に居る女王蜂:

大きなフタ無駄巣には高確率で女王蜂が居ます。

巣箱側で女王蜂が見つからない場合、女王蜂を探しながら無駄巣を剥がす作業が必要になり面倒です。

巣箱に作られた特大の無駄巣(自然巣):

2段箱内に作られた西洋ミツバチの自然巣です。 巣枠を使用しないと最終的にはこのような自然巣になります。

この巣の除去はとても大変だったので、ここまで無駄巣が大きくなるような放置飼育は避けた方が良いです。

巣枠横と巣箱のフタ、この2箇所によく無駄巣が作られます(無駄巣を作れるスペースがある為)。

無駄巣の予防

無駄巣はある程度予防する事ができます。 巣枠横無駄巣は、無駄巣が作られる前に新しい巣礎枠の追加で予防できます。 巣箱フタ無駄巣は、巣枠の上に障害物を置くことで予防できます。

ミツバチが自分勝手に造巣できる余計なスペースを与えない事が重要です。

無駄巣の除去

無駄巣はハイブツールやカッターで除去する事ができます。 無駄巣が大きくなると除去が面倒になるので、定期的に内部検査し無駄巣が小さい内に除去する事が望ましいです。 流蜜期は造巣スピードが早く無駄巣が出来やすいので、無駄巣の予防と早期除去を徹底して行いましょう。

無駄巣の予防・除去

ミツバチは巣を作る時に密集します。巣箱のフタ・側面など・・・画像の様にミツバチが多く密集していたら注意が必要です。

群が大きいと、恐ろしい早さで大きな無駄巣を造るので、無駄巣を造りそうな兆候が見られたら、無駄巣予防を行いましょう。

フタ無駄巣予防:

巣枠上部を麻布等で被うと、フタ無駄巣を防ぐ事ができます。

また、巣箱を開けた際のミツバチの攻撃を和らげる効果もあるのでお勧めです。

小さい無駄巣の除去:

無駄巣が小さい内はハイブツールやカッターで、無駄巣の付け根を切れば簡単に除去できます。

無駄巣に付いたミツバチの除去:

切り取った無駄巣にはミツバチが沢山付いている事が多いです。これらのミツバチは無駄巣を上下に揺することで振り落とせます。

無駄巣に女王蜂が付いている事もあるので巣枠の上で振ってください。

大きな無駄巣の除去:

大きな無駄巣の除去方法は二通りあります(フタ無駄巣も作業内容は同様です)。

①女王蜂を巣脾枠で発見できたなら、無駄巣を強引に剥がして除去できます。無駄巣に女王蜂が居ない事が確定していますので、手荒く除去して大丈夫です。

②女王蜂を巣脾枠で発見できず、無駄巣に女王蜂が居る可能性が高いときは、無駄巣をハイブツールやカッターで慎重に切り取り、女王蜂を探しながら除去します。

女王蜂を探しながらの無駄巣除去は時間が掛かりとても面倒です。

大きな無駄巣に付いたミツバチの除去:

大きな無駄巣は小さな無駄巣と違い、上下に振ると重さで千切れます。

大きな無駄巣を小さく切り分けてミツバチを振るい落としていくか、又は除去した大きな無駄巣に女王蜂が居ない事を確認後、ブラシなどで無駄巣に付いているミツバチを巣箱に払い落とします。

ミツバチが落としが面倒な時:

無駄巣に付いたミツバチを振り落とすのが面倒な時は、無駄巣を巣箱の入口付近に置きます。

時間は掛りますが、ミツバチは自力で巣箱に戻ります。無駄巣に女王蜂が付いていないか確認してから置いて下さい。

無駄巣を除去した後(重要):

無駄巣を除去しても、またミツバチは同じ場所に無駄巣を作り始めます。

その為、無駄巣除去後は必ず巣礎枠を無駄巣が作られた場所に追加して下さい。

無駄巣の早期発見・早期除去を心掛ければ、常に快適に養蜂作業を行えます。

巣脾枠上部が盛り上がってきた場合

巣脾枠の盛り上がり
無駄巣とは少し違いますが、流蜜期などは巣脾枠の上部が盛り上がってきます(巣房に多く貯蜜する為)。

巣脾枠上部が盛り上がると、巣枠を綺麗に並べる事ができなくなります。

邪魔な巣脾枠の盛り上がりは、ハイブツールで潰したり削ったりして整えます。

写真の様に荒く削り取って大丈夫です。 後はミツバチが綺麗に修復してくれます。

巣脾の盛り上がった部分では、働き蜂が蜜を吸っている事が多いので、煙である程度追い払ってから作業すると良いでしょう。

巣脾枠上部の盛り上がりを防止する方法は、巣枠間の隙間を詰める事です。 余計な隙間があると巣脾枠上部が盛り上がってきてしまいます。

除去した無駄巣の利用

除去した無駄巣はゴミではありません。色々な事に使えるので状況に合わせて有効活用しましょう。

除去した無駄巣の利用

①蜜ロウにする

取り除いた無駄巣は溶かして蜜ロウにできます。新しい巣からは良質の蜜ロウが精製できます。

②女王蜂の生産に利用する

無駄巣に卵や小さな幼虫が多い場合は、無王群に与え女王蜂を作らせる事が可能です。(人工王椀に移虫しても良い)

無王群が既に王台を作っている場合は、この方法は使えません。交尾失敗群(卵・幼虫無し群)や働き蜂産卵群に与えると良い結果が得られます。

②女王蜂の生産に利用する(準備)

無駄巣に写真の様に割り箸を突き刺します。 無駄巣が柔らかい場合は、割り箸を2~3本付き刺し補強してください。

②女王蜂の生産に利用する(無王群に与える)

割り箸を突き刺した無駄巣を、写真の様に無王群(卵や幼虫が居ない群)に与えます。無王群は無駄巣内にある卵や幼虫から王台を作り始めます。

③巣礎枠に張り付ける

私がよく利用する方法です。切り取った無駄巣を巣枠や巣礎枠に無理やり貼り付けます。

貼り付け方法は、無駄巣と巣礎シートの一部を重ね合わせ、指で強く潰し接着します。

③巣礎枠に張り付ける

張り付けられた無駄巣は、ミツバチが巣礎枠と一体化させ再利用してくれます。

無駄巣を直接巣枠に貼り付ける事も可能です。それを基に造巣が進み、最終的に巣脾枠になります。(コチラを参照)

無駄巣は、アイディア次第で他にも色々な利用方法がありそうです。

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