ミツバチ(有王群)が、どうのようにして無王群や働き蜂産卵群に成るのかを図解しました。ページの下のほうには、無王群(働き蜂産卵群を含む)の処置概要も記載しました。
通常は、王台や未交尾女王蜂も1匹の女王蜂としてカウントしますが、このページでは産卵できる交尾済み女王蜂のみを女王蜂として扱います。(交尾済み女王蜂が居る群=有王群とします。)
上の図は、ミツバチが卵から成虫へなるための日数です。 女王蜂と働き蜂の卵に注目してください。どちらも有精卵から始まります。対照的にオス蜂は無性卵から生まれます。(有精卵=メスが生まれる。)
有精卵が女王蜂になるか、または働き蜂に成るかは幼虫期に与えられた餌で決まります。幼虫期にロイヤルゼリーのみで育てられると女王蜂になります。 働き蜂の場合、幼虫3日目以降は与えられる餌が働き蜂専用の餌になります。(主にハチミツと花粉)
有王群の場合、有精卵から新しい女王蜂を作る行為は現女王蜂により制御されているので、群が女王蜂だらけになるという事はありません。
一般的な分蜂から有王群への流れです。 現女王蜂は新女王蜂が生まれる前に分蜂群として何処かに飛んでいってしまいます。 現女王蜂が居なくなり一時的に無王群化しますが、新女王蜂が羽化し交尾に成功すると有王群になります。
補足①: 図では交尾飛行を3日にしていますが・・・実際は、交尾飛行までの日数は女王蜂により異なります。経験則として、王台から新女王蜂が羽化後10日もすれば産卵している事が多いので暫定的に3日にしています。
現女王蜂分蜂後、王台から羽化した新女王蜂が交尾に失敗すると無王群になります。交尾失敗時、もう群には有精卵や女王蜂に成れる3日目以内の幼虫が居ないので、そのまま放置すると働き蜂産卵を起こし、最終的には消滅します。
補足①: 働き蜂産卵は、女王蜂不在が長く続くと発生します。文字通り働き蜂が産卵しますが、働き蜂はオス蜂と交尾をしていない為、産卵された卵は全て無性卵です。その結果、オス蜂しか生まれてこず最終的に群が消滅します。
なんらかの原因で、現女王蜂が急に不在に成った場合、群は有精卵や幼虫3日目以内から新女王蜂を作り始めます。急遽、女王蜂を作る為、働き蜂巣房を改造して「変成王台」というものを作ります。
変成王台から生まれた新女王蜂が無事に交尾に成功すると、有王群になります。
補足①: ミツバチは女王蜂が不在になると、数時間で無王群と認識し変成王台を作り始めます。
変性王台から産まれた新女王蜂が交尾に失敗すると無王群になります。交尾失敗時、もう群には有精卵や女王蜂に成れる3日目以内の幼虫が居ないので、そのまま放置すると働き蜂産卵を起こし、最終的には消滅します。
無王群~働き蜂産卵群~群消滅までの流れです。無王群になってから1~2週間ほどで働き蜂産卵が開始されます。その後、雄蜂は沢山産まれますが働き蜂が補充されないので群は徐々に小さくなり消滅します。 働き産卵中もで王台は沢山作られますが、働き蜂が産んだ卵(無性卵)では女王蜂(メス)が生まれません。
無王群と働き蜂産卵群の処置方法は同じですが、働き蜂産卵群の有王群化は難易度が少し上がります。
卵や幼虫が沢山居る巣脾枠(有児枠)を無王群に与える方法です。群は既に女王蜂不在を認識しているので、卵や幼虫から変性王台を作り始めます。この方法は有王群になるまで一番時間が掛りますが、働き蜂を補充できるという他にはない大きなメリットがあります。
補足①: 働き蜂を補充出来る為、他の無王群処置方法と組み合わせるとさらに効果的です。
補足②: 無王群が変成王台を作る性質を利用して、女王蜂の有無確認の為にも利用できます。
他群に作らせた王台を無王群に与える方法です。卵や幼虫を与える方法より早く有王群化できます。王台は蓋がされた羽化2~3日前の物を与えるのが一般的ですが、王台に蓋がされてなくても与える事はできます。
アマチュア向けではありませんが、未交尾女王蜂を無王群に与える事もあります。 王台を与える方法より早く有王群化できます。
交尾済み女王蜂を無王群に与える方法です。他の方法より一番早く有王群化でき、しかも交尾失敗というリスクがありません。(交尾済みなので交尾飛行する必要が無い。)
補足①: 女王蜂導入が失敗しやすい働き蜂産卵群には注意が必要です。
補足②: 無王群に働き蜂が少ない場合は、女王蜂導入と共に有児枠も1~2枚与えると良いです。
以上が無王群(働き蜂産卵群を含む)の処置方法の概要です。