ミツバチ(働き蜂)は、涼しい季節+蜜源植物が豊富+群が順調なら、養蜂家が意図しなくてもどんどん増えます。多くの都道府県では、主に春と秋に増えます。
対照的に夏と冬は、蜜源植物が減り環境(気温や湿度)も育児に不向きになるので、女王蜂の産卵が徐々に減り餌を与えても働き蜂は増えなくなります。(注意:地域によりミツバチが増える季節は異なります。)
周囲に蜜源植物が少ない地域(都会や住宅地等)では、食料が乏しく働き蜂が増えにくいですが、餌(砂糖と代用花粉)を定期的に与える事で働き蜂を増やす事ができます。
女王蜂の質が悪いと卵を余り産まず働き蜂が増えません。 ミツバチの増殖期である春と秋に卵をあまり産まない女王蜂は、取り除いて新しい女王蜂に更新したほうが得策です。 不良女王蜂を放置すると、働き蜂が減り群が弱ったり消滅するので注意が必要です。
女王蜂の良否を判断する際に注意して欲しい事は、「女王蜂の産卵を制御しているのは働き蜂」という事です。 働き蜂は、餌の量や周囲の環境に合わせて女王蜂の産卵数を制御していますので、餌不足であったり飼育環境が劣悪な場合は女王蜂の良否判定はできません。
ミツバチヘギイタダニの寄生率が高い群は働き蜂が増えにくくなります。 ダニが多いと群の調子も下がってくるので、内部検査時はミツバチの体をよく観察し、ダニが1匹でも確認できたらダニ駆除剤を使用しダニを減らしましょう。
市販のダニ駆除剤を用法・用量を守って使用すれば、ダニの寄生率を大幅に下げる事ができます。ダニ駆除剤は、ミツバチがあまり増えない時期に使用すると効果的です。
次は、働き蜂の増え方について説明します。働き蜂は一定数になるまでは微増で推移しますが、3枚群(蜂数6000匹)あたりから急激に増えるスピードが上がります。
グラフの赤線は、時間の経過と蜂数を表しています。
ミツバチは、このグラフのように時間に比例して蜂が増えていく事は少ないです。 |
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ミツバチは、ほとんどの場合、このグラフのような指数関数的な増え方をします。 群が小さい内は、なかなか働き蜂が増えないと悩むかもしれませんが心配ありません。群が大きくなると、もう勘弁してくれと思う位に働き蜂が増えます。 |
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働き蜂数の上限 1群当りの働き蜂数の上限は、一般的な西洋ミツバチの場合は4~6万匹が上限のようです。(標準巣箱2~3段) |
最後に、働き蜂の寿命について簡単に説明します。
幼虫期に栄養不足だった場合、羽化後の寿命も短くなります。栄養不足で成長できなかった幼虫は、働き蜂に巣房から除去されます。 | |
巣房にフタがされ蛹の状態です。この蛹期にヘギイタダニに寄生されていると羽化後の寿命が短くなったり、酷い時は羽が縮れた不良の働き蜂が産まれます。不良の働き蜂は仕事ができないので群から追い出されます。 | |
羽化後もしっかり栄養が取れないとその後の寿命に影響します。
少し科学的な話になりますが、働き蜂の寿命には、栄養以外にもビテロジェニン(卵黄タンパク)や幼虫が出すフェロモンが関与している事が解っています。 |
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ミツバチの成虫も人間と同じで、タンパク質が十分に摂取できると寿命が長くなります。
タンパク質(花粉)を沢山与えれば、あなたのミツバチはマッチョな働き者になるでしょう。(笑) |
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内勤蜂の時に、働かないほど長生きします。群の働き蜂の約2~3割が働いているそうです。
一生働かない働き蜂も居るそうです。私も働かない蜂に生まれたかったです。 |
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外勤蜂の時に、働かないほど長生きします。ここで言う働き蜂の仕事とは、働き蜂の行動の全てです。
働き蜂は、動けば動くほど早く死ぬという事です。逆にじっとして動かなければ長生きします。 |
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働き蜂は寿命が近付くと、強制的に群から追い出されます。 春・秋の蜜源植物が多い季節は、育児や採蜜活動で大忙しなので、ミツバチの寿命は1~2か月と短くなります。
夏・冬の蜜源植物が少ない季節や女王蜂の産卵が減る時期は、育児・採蜜の仕事が少なく3~5カ月と寿命が長いです。 |
夏や冬にミツバチがあまり外に出ないのは意味が有ります。蜜源植物(食糧源)が無いのに無意味に動く事は寿命を削る事になり群の崩壊に繋がります。蜜源が復活するまで最小限の動きで大人しくしているのが得策なのです。