2016年6月10日、沖縄は晴れ・雨です。 沖縄県は気温が30度付近まで上がり、毎年通り巣門付近に居る蜂に変化が出てきました。今回はその変化について色々調べてみました。

暑さと巣門付近に居る蜂の変化
①気温が高くなると、巣門前で屯する蜂が多くなります。
②気温が高くなると、巣門前で小さく上下に動きながら巣門付近を舐める蜂が多くなります(プロポリスを塗っている?)。

放射温度計で巣門付近の温度を測ったところ、巣門付近(木の表面)の温度が35度以上になるとこの行動が多く見られました。

この行動は巣門付近を水で冷やしていると考えていましたが、確証が無いので文献を探してみました。

色々、文献を漁っているとTemperature Control in Honey Bee Coloniesという古い論文を見つけました。この論文には、ミツバチについて色々基礎的な事が書かれており、養蜂家に有用だと感じたので概要を簡単に記載する事にしました。 *誤訳してたらすません。

  • 暑さに対してミツバチは換気と水で対応する。それらを駆使し、とても暑い地域でも生き残れる(地面温度が70℃くらいまで耐えうる)。
  • ミツバチの子育てに最適な温度は、32~36度(王台保温器の設定温度に使える)。
  • 気温が15度より高くなると、換気蜂(巣箱内部と外部空気の入れ替え)が現れる。換気能力は60L/分にまで達する。
  • 暑さに換気のみで対応できなくなると、水の使用が始まる。ミツバチは水を巣全体や巣房内に拡散する。巣房内に撒かれた水は、卵や幼虫を乾燥から守る。
  • ミツバチは、長い舌に水の薄い膜を張っている(乾燥した砂糖も食べれる理由)。
  • 巣の冷却が間に合わない場合、多くのミツバチが巣箱から出て巣門付近で塊になる。
  • 一部のミツバチは巣の中に残り、卵や幼虫の世話をする。
  • ミツバチ1匹を、温度-2~-6度に曝すと一時間以内に死ぬ。
  • ミツバチ1匹を、温度9~12度に曝すと昏睡状態になり数時間生存できる。
  • ミツバチ17500匹(蜂球)は、温度-25度でも300時間以上生存できる。
  • ミツバチは気温が下がるにつれ新陳代謝率が高くなる(保温によりエネルギー消費量が増える)。
  • ミツバチは胸部に生えている羽毛により、体温のロスを防いでいる。
  • ミツバチ(群)は、哺乳類や鳥類より寒さに耐性がある(-80度にも耐えうる)。人間(裸)は、0℃で一時間も耐えられない。人間弱すぎ。

今回の勉強により、巣箱から出てきて塊になっているミツバチは暑さが原因だと確信しました。また、巣門付近を舐めているミツバチも水を撒いているのだと信じる事にしました(巣全体に水を拡散すると書かれていた為)。

追加情報:

・換気は、熱を下げる以外にも巣箱内部へ酸素供給する意味もある。 ・換気中の蜂は光に反応しない(逆向きになる)。 ・夜間は換気行動が減る。

情報元:Social control of air ventilation in colonies of honey bees, Apis mellifera

温度とCO2濃度が働き蜂の幼若ホルモンに与える影響

・大気中のCO2濃度は0.04%程度だが、蜂の子が多いエリアのCO2濃度は1.5%とかなり高い。温度35度・CO2濃度1.5%だと、働き蜂の幼若ホルモンが急速に増加する。温度が低いと幼若ホルモンの急速な増加はみられない。

情報元:Influence of temperature and carbon dioxide concentration on juvenile hormone titre and dependent parameters of adult worker honey bees (Apis mellifera L.)

蜂達が外に出ているのは、私たちが考えている以上に複雑な理由がありそうです(換気・酸素供給・巣箱内のCO2濃度調整・働き蜂のフェロモンへの影響等)。

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