2018年11月9日、沖縄県は今日も晴天です。
現在、多王群化の実験をしていますがより理解を深める為、多王群技術の論文を熟読しました。
多王群技術の論文:Sustainable multiple queen colonies of honey bees, Apis mellifera ligustica
この論文では女王蜂の牙切りで多王化させていますが、他にも羽を切ったり毒針を切ったりと複数の多王化技術が昔から存在するようです(毒針切の多王化 Lensky and Darchen, 1963年)。 現在、私が行っている毒針切実験は55年前に既に行われていた事でした・・・
多王化する技術は昔から複数あるのに、日本(世界も?)では現場レベルで殆ど使われていません。
①繊細な作業を行う為、視力や集中力を求められる。
②女王蜂の体の一部を切る為に専用道具が必要。
③野外では女王蜂の牙切りや毒針切が難しい。
④多王化のための若い蜂群の準備・多王化に使える女王蜂の準備~処理を行うのがとても面倒。
⑤難儀して多王化させても一般的な養蜂ではメリットが余りない。
多王化のメリットは、女王蜂が失踪しても残りの女王蜂が無王群化を防ぐ事ぐらいだと個人的に感じます。
女王蜂の産卵を管理しているのは働き蜂なので、多王化により女王蜂が沢山いるからといって群が超巨大になることは無いです。私は実際に多王群を飼育したことがありますが、群は通常どうりでした。
上記の写真は以前飼育していた2王群です。
ここで説明している多王群は、特殊隔王板を使う多段多王群とは違います。多段多王群とは、別々の群を半合同したような形態で各女王蜂はそれぞれの群が管理しています。
通常、5群程度飼育していれば無王群が発生しても対処にはそんなに困らないので、ミツバチを1~2群飼育している方以外は面倒な事をしてまで多王化させる必要がありません。
もし、多王化技術についてプロ養蜂家100人に聞いたとしたら、98人が必要ないと答えると思います。
私は現行の多王化技術を簡略化するために色々試していますが、養蜂ガチ勢の研究者でさえ簡略化に成功していません。 養蜂論文もあまり読まず仕事の合間にのんびり養蜂実験をしているレベルでは簡略化は厳しそうです。
現行技術の改良は諦めて、下記の様に他の道を探す事にしました。
自然に起きる多王化は、健康状態の悪い母女王蜂と娘女王蜂が1群に同居する事で発生しています。 ここで娘が生まれる前に母に細工しておけば、母の健康状態(戦闘力は大幅低下)が良いにも関わらず分蜂せずに自然に多王化する確率が大幅に高まるのではないかと考えました。
通常、健康な女王蜂は王台を壊してしまいますが、牙又は毒針が無ければ娘(王台)を壊す確率が減るかもしれません。 まずは小さな群を使い分蜂が起きても迷惑にならない場所で実験を行うことにします。
考案中の方法が上手く行けば、2匹の女王蜂を1群で飼育することができます。 若い蜂群を準備する必要も無く、女王蜂の処理も母親1匹で済むので楽です。