2018年7月25日、沖縄県は晴れです。天気が良い日が続いています。

女王蜂の牙切り実験は、無王化した群の処理が面倒なのでオス蜂が増える9月下旬まで延期することにしました。

以前から、砂糖水と代用花粉を別々に与える作業が面倒と感じていたので、砂糖水とタンパク源(代用花粉)の大量給餌を同時に行える液体代用花粉を開発することにしました。 

液体代用花粉の実験
通常、代用花粉はタンパク源を砂糖と練り合わせてミツバチに与えるのが基本ですが、飼育群数が多いと大量に練り餌を作るのが面倒になってきます。
そこで考えたのがタンパク質を大量に入れた砂糖水です(タンパク濃度10%前後を検討)。 注:タンパク濃度の薄い砂糖水は既にあります。

液体代用花粉は、使用するタンパク質原料により砂糖水の性質が大きく変わります。 この液体代用花粉は、ホエイを使っています。 ホエイは泡立ちやすく蜂が溺れるので溺死対策が必要です。

ホエイを大量に与えると巣箱からミルクの匂いが漂ってきました。

溺死対策として、給餌枠の上にプチプチを置いてみました。

この液体代用花粉はペプトン(消化カゼイン)を使っています。ペプトンが臭過ぎて、ミツバチが飲むか不安でしたが問題無しでした。

蜂の嗜好性を高める為、糖濃度60~70%の砂糖水を使っています。 砂糖水の原料には水に溶けやすい果糖を使っています。

左はミツバチの必須アミノ酸と要求量の図です。一番左のトリプトファン要求量を1とした場合の各アミノ酸の比率をグラフ化しています。

簡潔に説明すると、蜂に与えるタンパク源が左の図のようなアミノ酸比率になっていれば、優れたタンパク源と言えます。

これはヒマワリ花粉のアミノ酸比率です。メチオニン・フェニルアラニン・イソロイシンが少ないですが、蜂が必要な必須アミノ酸を全て含んでいるので優秀な栄養源だと思います。
これは天然花粉(4種類の植物)のアミノ酸比率の平均値です。4種類の花粉の平均値なのでアミノ酸比率のバランスは良くなっています。

ミツバチが多様な花粉を集めてくる期間は、左グラフのように各花粉のアミノ酸比率が平均化された状態なっています。

卵はアミノ酸比率は良いですが、ミツバチにとっては余計な物質を含んでいる可能性が高いので使用しないことにしました。

個人的に、ミツバチの餌は色々な混合物では無くシンプルな物ほど良いと思っています。

ホエイのアミノ酸比率は、他の代用花粉と比べるとあまり良くないですが、天然花粉平均に少ないメチオニンを多く含んでいるので、ホエイも良さそうです(天然花粉に足りないアミノ酸を補える)。

近年、安いホエイが日本でも売られるようになり代用花粉として利用しやすいです。

カゼインのアミノ酸比率はとても良いです。 市販の代用花粉にもカゼインを添加している製品があるのも納得です。

カゼインはホエイと比べると価格が2倍ほど高いのが難点です。

ソイ(大豆プロテイン)のアミノ酸比率は良いです。価格もホエイより安く市販の代用花粉に使われています。

ソイプロテインはレシチン(天然の界面活性剤)を含んでいるので、水に溶かすとミツバチが溺死しやすくなるのが難点です。

注意: 大豆プロテインは、きな粉や豆乳とは違います。

酵母のアミノ酸比率は、ミツバチが要求するアミノ酸比率に近いです。 コストパフォーマンスも最高なので、代用花粉の主力原材料になっています。

酵母粉末を水に溶かすと土色の水溶液になり、給餌枠がとても汚れるので液体代用花粉には不向きだと思いました。

クロレラのアミノ酸比率は、可もなく不可もなくです。 アミノ酸比率が天然花粉平均に近く悪くはないのですが・・・価格が高いのが難点です。
スピルリナのアミノ酸比率はとても良いです。 クロレラ同様に価格が高いのが難点です。

クロレラ・スピルリナは水に溶けないので、タンパク濃度を濃くする液体代用花粉には不向きです。

スポーツ用としてBCAA(燃焼系のアミノ酸)という物が売られています。 BCAAはロイシン・イソロイシン・バリンから成りミツバチが多く要求するアミノ酸のみを含んでいます。

BCAAを原料にした液体代用花粉を検討しましたが、価格が高過ぎるので断念しました。

水に溶かした際に扱いやすいホエイまたはカゼインを使った液体代用花粉をミツバチに継続的に与え様子を観察しています。 タンパク質濃度が高過ぎるので、何かトラブルが起こるかもしれません。

参考文献:

score in bee-pollens compared to the minimum requirements of honeybees.

Honey Bee Nutrition.

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