ここでは養蜂の目的に合った飼育群数を個人的な経験を元に記載しています。これから養蜂を始めようと考えている方は参考にして下さい。

ミツバチを見るのが好き → ミツバチを見るだけであれば、飼育群数は1群を推奨します。蜂数が少ないと群も大人しく管理が楽なので、群に餌(砂糖や代用花粉)を極力与えず働き蜂をなるべく増やさないようにしましょう。ただし、越冬に備え秋には餌を与え働き蜂を増やしましょう。


天然ハチミツを採りたい → 飼育群数は1~4群を推奨します。ハチミツが採れる量は、飼育している地域の花の量や養蜂家の数に依存していますが、飼育群数が少ないほど沢山採れる事が多いです。強群ほどハチミツを沢山集めてくるので、群に餌を頻繁に与え、働き蜂を大量に増やし流蜜期までに強群化しましょう。 強群の分蜂を防ぐため、内部検査は最低でも1週間に1回は行いましょう。


群を増やしたい → 飼育群数は5群以上を推奨します。 群に餌を頻繁に与え働き蜂を増やし、大きくなった群(中~強群)を分割する事を繰り返します。 女王蜂の交尾にはオス蜂も必要なので、養蜂場全体のオス蜂数にも気を使いましょう。強群ほどオス蜂を沢山つくるので、オス蜂生産群として1~2群強群を残す事もあります。土地の蜜源量・飼育環境・ミツバチの管理が良ければ、1年で所有群を2倍以上に増やせます。


群を減らしたい・売りたい → 群は、個人・養蜂家・農家に譲渡できます。群を譲渡する際の注意点ですが、群を都道府県外に移動させる場合はフソ病検査が必要です。 詳細なミツバチの移動に関しては、各都道府県の条例に従って下さい。(詳しくはこちらを参照して下さい。)

ゆうパックで群を移動させる場合は、下の画像の様に巣箱を網などで囲わないと受取を拒否されるので注意して下さい。

飼育群数によるメリット・デメリット

飼育群数によるメリット・デメリット

飼育群数

メリット

デメリット

1群

ミツバチの管理が楽で維持費もとても安い。蜂数が少ないので住宅地でも飼える。ハチミツが沢山採れる。

女王蜂不在になった時に対処が難しい。 かなり増群しずらい。

2~3群

ミツバチの管理が楽で維持費が安い。蜂数は1群と比べ増えますがギリギリ住宅地でも飼える。1群が女王蜂不在になってもギリギリ対応できる。ハチミツが採れる。

増群しずらい。

4~6群

他の群が女王蜂不在になっても対応が可能になり、増群効率も良くなる。蜜源植物が多ければハチミツが採れる。

ミツバチの管理が少々面倒になり維持費もそこそこ掛かる。蜂数が増えるので、住宅地では苦情がくる可能性がある。

7~10群

他の群が女王蜂不在になっても対応が容易になり、増群効率がさらに良くなる。

ミツバチの管理が面倒になり維持費も掛かる。蜂数が大幅に増えるので、住宅地では苦情が来る確率が大幅にあがる。

11群以上

他の群が女王蜂不在になっても対応が容易になり、増群効率がさらに良くなる。

注意: 作業量が増え維持費も掛るので、業としての養蜂家を目指している人以外にはお勧めできません。

ミツバチの管理時間の増加+維持費が掛かる。住宅地で飼育していると苦情がくる。


群の性質変化について

最後に、弱群・中群・強群の性質や扱う際の注意点を説明します。

群の規模による性質の違い

巣脾枠数とミツバチ数について

一般的に、画像の巣脾枠(スヒワク)の両面が働き蜂で覆われている状態で約2000匹の働き蜂がくっ付いていると言われています。

上記の事を前提として、養蜂では群の規模を巣脾枠の数で表現します。例えば・・・3枚群と言えば、約6000匹のミツバチが居る群の事です。

巣脾枠1枚でミツバチが2000匹なので、3枚だと6000匹になります。

弱群

ミツバチ数:1000~6000匹
巣枠数:1~3枚
性格:大人しい
集蜜力:低い
天敵耐性:低い
分蜂:滅多にしない
保温力:低い

弱群は大人しく分蜂もしずらいので管理は楽ですが、天敵・餓死・凍死に注意が必要です。

中群

ミツバチ数:8000~16000匹
巣枠数:4~8枚
性格:普通
集蜜力:普通
天敵耐性:普通
分蜂:時々する
保温力:普通

中群は蜂数が増えるので管理が少し面倒になりますが、集蜜力・天敵耐性・保温力が上がるので、分蜂にさえ注意すれば安定します。

強群

ミツバチ数:18000匹以上
巣枠数:9枚以上
性格:攻撃的
集蜜力:高い
天敵耐性:高い
分蜂:分蜂する
保温力:高い

強群は攻撃的で分蜂しようとするので管理が大変です。集蜜力が飛躍的に高まるので、ハチミツを沢山採りたいなら強群が必要になります。保温力も高いので越冬時にも強群が必要になります。

注意: ミツバチは生き物なので群の本来持っている性質により弱群でも凶暴な時があります。

群の規模により群の性質が変わり1群当りの管理の手間も変わります。これらの事を考慮して、自分が管理できる飼育群数を超えないようにしましょう。管理不足では、群の消滅や分蜂が起き良い事がありません。

戻る