ミツバチの栄養源は花蜜と花粉になります。それらがどのような役割なのかを簡潔に説明します。 花蜜や花粉を人間の食事に例えると、お米や肉に相当します。

ミツバチの栄養源
花蜜は、ミツバチが活動する為の主なエネルギー源・幼虫への餌・蜜蝋の材料になります。余った花蜜は、巣内で濃縮されハチミツとして貯蔵されます。

花蜜が不足すると、群の増勢が止まります。 また、貯蓄した蜂蜜も枯渇してしまうとミツバチは餓死してしまいます。

花粉は、アミノ酸・脂質・ビタミン・ミネラル等を豊富に含んでおり、ミツバチの体の基になる重要な食糧です。ミツバチ群は年間10~20kgもの花粉を消費します。

群が花粉不足になると、働き蜂の免疫力が低下したり寿命が短くなったりします。 また、卵や幼虫は働き蜂に食べられてミツバチが増えなくなります。

水も重要な食糧の一つです。水は、ミツバチが摂取する以外にも巣箱内部の湿度・温度管理に利用されます。

ミツバチは近くに水場があれば、そこから水を調達します。水場が無い場合は、大きな鉢に水を入れておけば飲みに来ます。

植物の花粉は、人間の目では同じような粉に見えますが顕微鏡で見ると形や大きさが個性的です。

色々な花粉
ハイビスカスの花粉 200μm

目視でも花粉の大きさが分かります。 花粉が大き過ぎる為かミツバチが訪花してる所を見た事が有りません。

ムネノキの花粉 長さ100μm位

ミツバチが大好きな花粉です。

サルスベリの花粉 40μm位?

蜜蜂は時々訪花します。

アメリカハマグルマの花粉 30μm位

蜜蜂は時々訪花します。夏だと他に花粉源が少ないので良く訪れます。

センダングサの花粉 30μm位

蜜蜂がとても好きな花粉です。見た目はアメリカハマグルマと似ています。

ミカンの花粉 30μm位

ミカンの花粉は蜜蜂がとても好きな花粉です。

ツバキの花粉 40μm位

ツバキの花粉は蜜蜂がとても好きな花粉です。米粒のような形をしています。

シロツメグサの花粉 25μm位?

蜜蜂がとても好きな花粉です。画像のツブツブしたのが1つ1つの花粉です。密集しています。

シークワサーの花粉 約30μm

シークワサーの花粉は四角い形をしています。

クロレラ 5-10μm

アミノ酸スコアが高いクロレラも代用花粉として使えます。大きさは酵母と同じくらいですが単価が乾燥酵母と比べて高いです。

ミツバチの糞

これはミツバチの糞の顕微鏡写真です。花粉が含まれているのが確認できます。

花粉の栄養は植物の種類により異なります。 その為、ミツバチは栄養が偏らないように色々な花粉を集めてきます。

栄養の桶理論

ミツバチが必要としている栄養

画像の様にミツバチが必要としている栄養素がA・B・C・Dだと仮定します。 しきい値以下だと栄養不足になってしまいます。

花粉Aの栄養

花粉Aは、栄養Aが突出して含まれていますが、他の栄養素がほとんどありません。

花粉Bの栄養

花粉Bは、栄養Bが突出して含まれていて、他に栄養Cや栄養Dもある程度含んでいます。

花粉Cの栄養

花粉Cは、栄養Cがある程度含まれているだけで、他の栄養素はほとんどありません。

花粉Dの栄養

花粉Dは、栄養Cと栄養Dがある程度含まれています。

花粉ABCDの総栄養

一種類の花粉では、ミツバチの栄養全てを満たす事は出来ませんが、ABCD全部の花粉を食べればしきい値を超える栄養になります。

少し詳しい情報: ミツバチが必要なアミノ酸10種類

アルギニン, ヒスチジン, リジン, トリプトファン,
フェニルアラニン, メチオニン, スレオニン, ロイシン,
イソロイシン, バリン.

参考文献:
・The protein balance of the honey bee
worker K Crailsheim.
・Honey Bee Nutrition.

トリプトファン必要量を1とした場合の他アミノ酸の必要量(概要)

トリプトファン(1)
メチオニン(1.5)
ヒスチジン(1.5)
フェニルアラニン(2.5)
アルギニン(3)
リジン(3)
スレオニン(3)
ロイシン(4)
イソロイシン(4)
バリン(4)

ミツバチにとって植物が提供する多様な天然花粉は超重要です。 色々な代用花粉が販売されていますが、天然花粉の代わりにはならない事が多いです(一種類の代用花粉ではミツバチが育たなかった)。 代用花粉はあくまで栄養補助と考えた方が良いです。

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